
2026年6月、近代俳句の巨星・高浜虚子と、直弟子であり小説『椿子物語』の実名のヒロインとなった千原叡子との間で交わされた、未発表往復書簡集を出版する運びとなりました。
千原叡子は、金藏院葉子の母でホロン俳句会の講師でもあります。
本書は、遺された古い文箱から発見された膨大な書簡を、叡子の長女である金藏院葉子が、文学資料として精査・編纂したものです。
手書きの手紙の文字起こしから始め、翻刻・精査の過程は実に大変で、2年半もの時間が必要でした。
改めて小説と書簡を突き合わせて見直したとき、この書簡集が、虚子にとって「第三の小説」とも呼べる物語を成していることに気づきました。
虚子が他のお弟子さんや家族の書簡を多く残さなかった一方で、叡子との手紙を死の直前まで手元に留め続けた理由。その真意が、本書を読み解くうちに、虚子はこれら一連の書簡を通じて、もう一つの小説を書きたいという思いを最後まで手放さなかったことがわかります。
俳句史の一級資料として、また人間・高浜虚子の豊穣な世界観を解き明かす記録として、本書が研究の一助となれば幸いです。
【本書の注目ポイント】
【1】 未公開の貴重資料
虚子と 叡子が共に大切に守り続けた未発表書簡を多数集成。
【2】 小説の復刻収録
絶版となっていた『椿子物語』および『絵巻物』を併せて収録し、書簡とあわせて読み解くことが可能に。
【3】人間・高浜虚子の実相
定型詩人としてだけではない、十七音の先にある、生身の虚子の温かな眼差しと「客観写生」の深淵を浮き彫りにする。
ぜひお手に取ってご覧くださいませ。
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