何か大事なことをするときに緊張したりアワアワした経験はありませんか。例えば人前で話をする時のように。こんな時、瞬時に落ち着いて集中出来る方法があるとしたら助かりますよね。
以前、私がセミナーを受講した時の経験から気がついたことをご紹介します。そのセミナーはイギリスで開催されましたので、 20分間のプレゼンを英語でしなければなりませんでした。私は英語が得意ではありませんので、 単語を連ねるようなたどたどしい伝え方で進めていったのですが、かえってそれが聞き手の想像力を刺激したようで、参加者がぐっと引き寄せられて思ったより良い感じで終えることができました。
したがってプレゼン後のフィードバックタイムでは、きっと内容について良い評価が返ってくると思っていたのです。ところが、内容についてはひとことも触れられず「どうしてそんなに山のように動じない意識の状態を保てるのか」「落ち着いていられる方法を教えてほしい」といった内容とは全く関係ないことばかり評価されてびっくり。
あんなに頑張ったのに「内容」より「意識の状態」が評価されるとは、、。
その時、思い出したのです。
私は、能狂言という日本の伝統文化を習っています。ご存知のように能狂言では、舞台をすり足で動きます。セリフひとつひとつに足の動きが決まっており、常に足元に意識を置いていなければなりません。足元に意識を置いておくと無意識のうちに重心が下がり、下腹の丹田に意識が移動します。丹田に意識が集中すると、雑念が減って視野が広くなり、落ち着いて行動出来るようになるのです。
私はプレゼンの緊張感の中で緊張をほぐしリラックスしようと、無意識のうちに舞台に立つときのように足の裏に意識を持っていっていたことに気づきました。そのことが、聞き手に動じない印象を与えていたのかもしれません。
そういえば、サイエンス オブ ピープル が、プレゼンテーションのTEDトークスを調査した話を思い出しました。760人のボランティアが数百人のトークを見て人気のトークのパターンについてリサーチした調査です。TEDトークで、音声ありと無音の両方でビデオを見もらい、カリスマ性、知性、信頼性のポイント評価を取り、それぞれの人気のトップを比べたところ、双方とも全く同じトップを選んでいたというのです。
内容とは別のところで聞き手は影響を受けるとしたら、意識の状態をうまく管理できれば、聞き手に対して望ましい印象を与えることができる。
私は足の裏に意識を持っていくことで、偶然 自分の緊張状態を変えることができていたのです。
これは私にとって大きな発見となりました。
もしそうであれば、今後は意図的に、足の裏に意識を持っていくことで、緊張状態から落ち着いた状態に意識を変えることができるのではないか。
そして、私はその後何度か実験的に足の裏に意識を向けることをやってみました。また、私のセミナーの受講生にも何度も体験してもらいました。
繰り返し実験した結果、足の裏に意識を持っていくと、必ず意識の状態が落ち着いた状態に変わるのです。緊張して妙な雑念に振り回されることもなく、堂々とした印象を与えることができる。
「緊張したら足の裏!」
これは受講生の合言葉になるくらい効果的でした。
そして、これはプレゼンの緊張時に限ったことではなく、日常の中で心を静かにして集中したい時や、意識がアワアワしてしまったときなどにも効果的です。
「大事な時は足の裏を意識する!」
私はNLPという脳科学をベースにした実践心理学を教えています。NLPと日本の伝統文化の親和性については以前から気がついていましたが、このように瞬時に意識を変えることができる方法はとてもNLP的です。
日本の文化の中にまだまだ眠っている優れた方法をNLP的に解明していくことは重要なことだなと改めて思う機会にもなりました。
そういえば、足の裏は英語ではソールといいます。ソールはソール、つまり、ソールメイトなどというソール(魂)にも通じます。足の裏に意識を向ける事は、自分の魂につながることなのかもしれません。
緊張したときには、ぜひ実験的に「緊張したら足の裏」をやってみてください。

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