2006年10月
『ファミリーコンステレーション〜無意識に働く「存在」の力〜』
・・・畦 昌彦 先生 皆さん、こんにちわ。今回の PBI上質人生大学公開講座レポートは、昨今急速に注目を集めつつあるセラピーのひとつ 「 ファミリーコンステレーション〜無意識に働く「存在」の力〜 」 をご案内いたします。

ファミリーコンステレーションとは、ドイツ人セラピストバート・ヘリンガーによって始められた家族システムそのものを扱うセラピーです。
クライアント(依頼者)の問題をその人だけの問題として見るのではなく、クライアントの家族までをも一つのシステムとしてとらえる体系的な家族療法で、具体的には 「 病気・精神疾患・人間関係のトラブルなど個人に起きるさまざまな問題の奥には家族全体、また家系のシステムのなかに生じた問題=『排除された存在』がある」 と考えるのです。
例えば、ある家庭の子供が喘息などの発作を持っており、両親が喧嘩を始めると決まってその発作が起こるケースがあるとします。子供に発作が起これば、当然両親はその子に付きっ切りになります。この場合、ファミリーコンステレーション では原因を本人の問題としてではなく、家族全体の関係性で捉えます。つまり、この発作を家族という一つの身体に現れたひとつの症状とみなし、その局所的な症状を治すのではなく、身体全体に対して働きかけてゆくのです。
実際のワークでは、クライアントとその家族関係者にあたる代理者を同じフィールドに並べ、そこでおこる各々の現象から人間関係のもつれを読み取ります。そして、万一そのもつれが親から子へと代々引き継がれているような場合には、世代を超えた大きな枠組みとして各々の魂のもつれを解きほぐし、クライアントが精神的症状、病気、家系的に受け継がれる問題などを乗り越えて生きることができるようにと手助けをするのです
私達は、この世に生まれた瞬間から家族に所属します。排除された存在はワークの中でメンバーとしての本来の位置に戻され、所属する権利を回復します。そのことによって混乱した家族システムは秩序ある家族システムへと変換されていきます。そのことによって個人の抱えているさまざまな問題が解消されたり、生活環境が劇的に変化してしまうということが起こり得るのです。 さらにこの方法は家族だけではなくさまざまな組織にも応用することができるので、企業経営におけるビジネスコンステレーションという形での活用も試みられております。
いまや心理療法を超えて、企業経営、組織管理という分野をもその対象としながら進化し続けている大注目アプローチといえるでしょう。

【畦 昌彦(うね まさひこ) 先生】
1961年大阪生まれ。18歳で僧侶の道を志し、一般の家庭より出家。仏教大学を卒業後、浄土宗僧侶となる。26歳で滋賀県甲賀市法蔵院に住職し現在に至る。住職就任後、さまざまな人間の苦悩、問題に向き合う必要を感じ、修験道、運命学、カウンセリング、さまざまなセラピーを学び、これらを通して多くの人々にかかわる。
現在は浄土宗大本山清浄華院の法務部長として本山の運営にもかかわり、平成17年より同本山において、浄土宗の僧侶を対象にNLP・ファミリーコンステレーションを中心にしたカウンセリングの研修会を開催している。 
「みなさん、はじめまして。私が 畦と申します 」 畦先生が会場の参加者に挨拶をされました。 「ところでみなさんは ファミリーコンステレーションという言葉をご存知でしょうか。実はこのセラピーが日本に入ってきましたのは2000年という最近の話で未だ6年しか経っておりません。私自身も4〜5年前にたまたまこれに出会い、強い衝撃を受けたので勉強するに至ったのですが、その当時は日本にファミリーコンステレーションという概念も広まっておらず、トレーニングそのものができたのも去年から、世界的な協会も現在できつつあるといった発展途上の新しい手法のセラピーであります 」 と述べられました。
「創始者である ドイツ人セラピストバート・ヘリンガーは宣教師からセラピストに転向された人物で、カウンセリングを受けても一定水準以降はクライアントの改善が図れない多数のケースから 「問題は個人だけではなく、クライアントの所属する環境(先祖まで含む繋がり=家族)に帰依するのではないか」 と考え、その気付きによって家族システムそのものを扱うセラピーを考案したのです 」
このように ファミリーコンステレーションについて 説明された畦先生は 「話だけではなかなかご理解いただけないでしょうから、実際にやってみましょうか」 と会場の皆さんに話しかけられ、各参加者に自己紹介をさせた後、事前に配布していた資料を順番に声に出して読むように指示されました。
「今読んでいただいた資料にも記していた通り自殺願望のあるクライアントがいるとします。そして消えない自殺願望にクライアントが苦しんでいた場合、一般的な心理療法では本人の心の持ち方に問題があると考えますが、しかしそうではないケースもある、ということに是非気づいていただきたいと思います。例えば ファミリーコンステレーションにおいては 、その人自身が抱えている苦しみはその人が作り出したものではなくその人に繋がっているご両親、もしくはその上の世代、さらにその上の世代の何かから来ているものかもしれないと捉えます。
このように心の問題をシステムとして考え、誰かが抱えていた苦しみや悲しみをクライアントが肩代わりしているのではないか、と考えるのが ファミリーコンステレーションなのです 。
ファミリーコンステレーションの セラピー手法としては、 ファシリテーター と呼ばれるセラピーを仕切る役目の人間が、 問題を抱えるクライアントの代わりに第三者の代理人を立て、その代理人に該当者を演じてもらいます。一つの例としてご自身とお父さんとの間になにか問題があった場合を想定しますと、ご自身とお父さんの役目を担う代理人を立てた後、彼らに該当者を演じてもらい、そしてその場に起きている何かを ファシリテーターが 読み取ってゆくのです。もちろんそのまま二人の代理人だけで事が解決すればいいのですが、実際は当事者だけの問題ではないケースがほとんどなので、当然、その場に関わる代理人の数も増えてゆくのです」

「 ファミリーコンステレーションはロールプレイングと違い、その人の気持ちになって考えたり行動したりすることは一切ありません。ただ、その場に立ってもらうだけなのです。その上で自分の意識を一切手放してもらうのですが、そうすることによって不思議なことが起き始めます。
具体的に申し上げますと、“お互いで向き合っているのがすごく嫌になり思わず横を向いてしまう” もしくは “どうしても下を向かざるを得なくなる” とか、“訳もなくこみ上げてくる怒りや悲しみ、または喜びの感情に身を任せてらう” のです 」
「再度、具体例を申し上げましょう。例えば戸籍上、長男であったクライアントがいたとします。しかし、そのクライアントが生まれる前に母親が一度、流産していたとしたらどうなるでしょう。 ファミリーコンステレーションでは例え一瞬であったとしてもそこに命はあったのだ、と捉えます。すると その家族システムにおいて忘れ去られた存在である魂をセラピーによって思い出すことにより、空白を伴った家族システムにもう一度、本来あるべき命の流れが蘇ってきます。そうすることによって初めて家族システムは正常に機能し始め、結果、クライアントは救われるかもしれないのです。
また別のケースとして、原因が何世代も遡る場合も申し上げておきましょう。例えば先の戦争から生還した祖父がいたとします。そしてその祖父は本来の家族システムから去ろうとしていたのです。なぜなら彼は家族ではなく死んでいった戦友しか見ることができなくなっていたからです。
このように、人生における劇的かつ強烈な体験は、しばしば家族システムに組み込まれ機能し始めます。同じような強烈な体験として強姦や殺人における加害者、被害者も含まれますが、その組み込まれた影響が月日を超えて何世代も下ったクライアントに現れ、影響を及ぼすのです」

その後、畦先生は参加者の皆さんに 「ここでご自身が抱えている問題をこの場で扱っても良い、という方はいらっしゃいませんか?」 と呼びかけられ、その呼びかけに呼応される形で 2組の方が名乗り出られました。そこでの模様はクライアントのプライベートな事柄を含みますのでここで具体的に記述することはできませんが、 ファミリーコンステレーションをご理解いただく上でセラピーの流れを 簡潔に述べさせていただきます。
@ クライアントがご自身の問題を述べる
A ファシリテーターがクライアントを含む問題に関わる全ての該当者の代理人を参加者の中から随時指名する
B 代理人として指名された第 3者は ファシリテーターが指示する場所に立ち、そこで何を感じるかを見極める
C ファシリテーターは代理人に何を感じているかを聞き出し、そのことについてクライアントに感想を訊ねる。その際、必要に応じてクライアントの感想に関係する他の代理人との位置関係を調整し、再度クライアントに感想を訊ねる
D クライアントが問題解決に必要な何かに気付くまでCを繰り返す
以上が ファミリーコンステレーションの大まかな流れになるのですが、不思議に思えることは全ての代理人はクライアントのプライベートな事柄を何一つ知らないにもかかわらず、あたかも精密機械における歯車のように、それぞれが呼応して自然と有機的に動き出してしまうという点です。このことについて代理人を担われたある参加者からは 「何故だかわからないが、その場にいてはいけない気持ちになって○○から離れてしまった」 「△△と向き合った瞬間、抱擁し泣いてしまった」 などの感想が聞かれました。
特に今回のセラピーで驚いたのが、 2度目のファミリーコンステレーションで、 クライアントの代理人を担われた方が急に片側の足をびっこを引きながら歩き出したことです。そのことについてクライアント本人から 「実は普段の生活ではほとんど支障はないのですが、私を含めた私の家系は(代理人がびっこをひかれた側の)足がよくないのです」 とおっしゃられたことです。ちなみに代理人の感想は 「急に片側の足が動きにくくなり、思わずびっこを引いてしまった」 のだそうです。
このように代理人の方々には予想もしない行動が随時訪れますが、その行動にこそ、クライアントが抱える問題への解決の鍵が隠されているのです。

最後に畦の先生はこのようにおっしゃいました。
「 ファミリーコンステレーションではセラピーの内容が ファシリテーターの力量に大きく左右されはしますが、反面、今までのセラピーや心理療法の枠組みや限界を越えた大きな可能性が得られることも事実です。まずは自分中心のシステムを扱ってみることが大切です。自身が所属する家族システムのどこに己のポジションがあるのか、そして自分自身がそのシステムからどのような影響を受けているのか。普段はなかなか意識することのない概念ですが、自分自身ではどうしても超えられえない問題や壁の根本がそのシステムの中に隠されているかもしれないのです 」

ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。
気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。
スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
それでは次回のホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。 どうぞご期待下さい。

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