上質人生大学

特別講座レポート

2010年9月
播磨陰陽師講座 / ~ 言霊 ~
尾畑 雁多(おばた かりんど) 先生

 

 

i-obata.jpg畑 雁多(おばた かりんど) 先生

1960年、赤穂浪士の子孫としてこの世に生をうける。
先祖代々、赤穂武士の間に伝わっていた古式陰陽道を伝承する播磨陰陽師の末裔として、幼い頃より様々な霊体験を通して、一子相伝の秘術を習得する。古式陰陽道の伝承は、歴史的に「謎の集団」として知られる播磨陰陽師たちのもつ呪術・霊術から武術・戦略や武家の風習にいたるまでの多岐にわたるが、特に当家の伝承は、古くは物部の祭祀に起因する夢操り・夢伝え等の、独特な夢の世界に関する伝承と、その世界から現実に影響を与え変更すると伝わるノウハウを有する。

 

 

 

 

「“言霊” について皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか」

尾畑先生が会場のみなさんに問いかけました。

 

「言葉の持つエネルギー」

「その人の持つ価値観」 などの声が聞かれた中、尾畑先生は次のように話されました。

「そうですね。イメージとしてはその通りで、言霊とは言葉に魂があるとする考え方です。例えば江戸時代の人々は、書にせよ、浮世絵にせよ本当の集中力がなければ作りえない作品を数多く残されていますが、その集中力を養えた背景のひとつに、目には見えない世界をも網羅したこの世の全ての存在が囁く “言霊” があったからだ、と考えられます。

ただ、言霊という考え方が唱えられたのは明治時代になってからの話で、それまでは言葉に魂が宿るのは “当たり前の話” で特に意識はされていなかったようですが、大正時代に考え方として一度途絶えた後、研究という形で見直されたという経緯があります」

 

 

 

 

「例えば頭の中でネガティブなことを考えたとします。その考えは 「悲しい」 や 「寂しい」 といった言葉として口から発せられます。言葉は音として四方八方をネガティブな波動で満たしますので、波動が空間そのものの反応を呼び、周囲の人間から草木に至るまで波動からネガティブな気持ちを吸収し伝わっていくのです。

また、ネガティブな考えが長期的に続くと周囲の命は耐えることが出来なくなります。その状況は小さな黒い虫を呼び、カビを呼び、最終的に腐敗を呼んだ後、さらに次のネガティブな思考を呼び寄せる、といった負の循環を形成するのです」

 

「言霊としての立場に立つと、言葉は3種類に分類されることが分かります。ひとつは「口から出る言葉」、次に「頭の中にある言葉」、最後は「身体が作る言葉」です。

ひとつ目の 「口から出る言葉」 は、その名の通り、会話や独り言といった類の言葉です。ふたつ目の 「頭の中の言葉」 とは、口では 「楽しいですね」 と言いながら、頭の中では嫌なことを思い浮かべているようなイメージの言語です。最後の 「身体が作る言葉」 とは、例えば拍手を打った時に周囲に伝わる雰囲気とか、武道で組み合ったときに身体が伝えるコミュニケーションのようなものとして理解してください」

 

「神々と私たちの言葉との関係は非常にシンプルです。神様には 「良い言葉、綺麗な言葉」 しか届きません。ここでいう 「良い言葉」 とは 「感動する言葉」 のことで、人間が感動する言葉のみが言霊として神様の元に届きます。

例えば、かの 「古事記」 の有名シーン、天岩戸に閉じこもった天照大神が天岩戸を空けようとする場面には、「外でとても綺麗で楽しげな言霊が聞こえるわ」 と話す一節があるように、神様には純粋で美しく、綺麗な言葉しか聞こえないのです」

 

 

 

「言霊には、音量と、リズムとメロディが内包されています。音量とは感情の強さに応じて変化するもので、リズムとは呼吸や心臓の鼓動から得られる周波数、メロディとはその時思い浮かべていたイメージから導き出される類のものを指します。

例えば、ポジティブなことを考えながら言葉を発すると、声のトーンや起伏、そして節(メロディ)が晴れやかな感じになります。反対にネガティブなことを考えると暗く沈んだ波動となり、周囲がそれに応じて反応するので、嫌なことばかり起きるのです。

ちなみに、コミュニケーションを簡潔に表すとすれば、声のトーンや起伏、そして節(メロディ)を含めての相手への感情伝達行為、といえますね。声のメロディが感情を伝える波動と化し、心を情報として伝え、同じルートで相手から返答される。こうしてコミュニケーションは成立するのです」

 

 

 

 

本講座では「祭文とは言祝(ことほぎ)とも呼ばれ、天晴れ天津祝詞と一緒に唱えるものとされています」 と話された後、実際に天晴れ祭文、及び山誉めの祭文、大黒天之行の祭文と子供唄、天の数唄といった祭文の声のリズムやトーンを練習し、口伝として伝えられたシーンもありました。

 

また、神社への参拝方法として一般的な儀とは別方法に類する言霊の説明もありました。

「特別な神社の参拝法としての言霊、神呪(かじり)、神祝(かむほぎ)、神言(かむごと)が存在します。神呪は深呼吸に基づく方法で、短い言葉を続けて何度も何度も行う言霊です。神祝は神を言祝(ことほ)ぐ為に使う、小声で行う言霊です。神言は願い事をする言霊で、やはり小声で行います。

いずれもゆっくりとした呼吸で行うことが大切ですので、先ずは声を出して行ってください。場所は神社に限らず、山中や岬など、良い環境で行って頂いても結構です。その後、声を出さず頭の中で行う形態に移行してください」

このように説明された尾畑先生は、ここでも口伝として各言霊の発声方法を参加者に指導されました。

 

 

 

 

これら言霊について数々の説明をされた尾畑先生は、最後に祝詞に基づく 「正しい言葉」 について説明をされました。

 

「祝詞には、長さや用途、文章の形式によって祝詞と寿詞(よごと)に呼び分けられています。一方、経文(きょうもん)、御経(おきょう)、御詠歌(ごえいか)、真言(しんごん)と呼ばれる仏教のものは一般的に声明(しょうみょう)と呼ばれています。

祝詞はは言霊の技法として 「祈り」 に使用しますが、仏教で使われているものは 「苦しみを慰める」 為に使用する違いがあります」

 

「祝詞には、唱えることにより呼吸が整い、ネガティブな思考がなくなり、良い波動をもたらす、つまり心のエクササイズとしての役割があります。一方、日本人の原点として古事記の世界を頭の中に思い浮かべ、神々との会話、及び神々の感情の起伏を追従することによって魂を活性化させる、つまり魂のエクササイズにも取り組む必要があるでしょう。

この魂の活性化を行う範疇には、祓い言葉、つまり磯凪の命(いざなぎのみこと)が禊ぎ祓いを行った場面を思い浮かべながら行う祝詞もありますので、まずは古事記の世界観をしっかり理解する必要があるでしょう」

 

「陰陽道では正しい言葉は正しい人生をもたらす、と考えられています。ここで正しい言葉というものをハッキリと定義するのは難しいのですが、少なくとも祝詞は昔の美しい言葉で成り立っているので、祝詞を唱えることで言霊が整えられ、ネガティブな感情が消え去り、あなたにとっての良い人生がもたらされることは間違いありません。言霊を良い状態に保つためにも日々、祝詞を唱える意義の重要性をお伝えして、本日の講座を締めくくらせていただきます。

今日はありがとうございました」

 

 

 

 

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