2009年10月
呼吸法とその極意
成瀬 雅春(なるせ まさはる)先生
生命にとって、必要不可欠な呼吸でありながら、普段何気なくしている呼吸。 しかし、その呼吸が驚くべき能力を開発し、人生を左右する決定な要因になり得ることはあまり意識されていないかもしれません。 今回の講座は、その呼吸法を、インド政府からヨーギラージ(ヨーガ行者の王)という称号を授与されているヨーガにおける世界最高峰レベルの成瀬師から学ぶ絶好の機会となりました。成瀬師のテクニックはヨーガ経典に基づきヒマラヤ修行で練り上げられた他に類を見ない本物であり、基礎から超越的なものまで幅広く網羅しておられます。 今回の内容は初心者のみならず、実践者にとっても見逃せないポイントもあるのではないかと存じます。
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【成瀬 雅春 (なるせ まさはる) 先生 】
ヨーガ行者、ヨーガ指導者。12歳頃に「即身成仏」願望が生じ、今日までハタ・ヨーガを中心に独自の修行を続けている。1976年からヨーガ指導を始め、1977年2月の初渡印以来、インド、チベット、モンゴル、ブータンなどを数10回訪れている。
『サンデー毎日』(1983年5月1日号)のグラビアに「驚異の空中浮揚術」として8枚連続写真が掲載され一般に知られるようになった。さらに『週刊文春』(1988年4月21日号)に「空中大浮揚」として地上1メートルを超える写真が掲載された。空中浮揚以外にもシャクティチャーラニー・ムドラー(クンダリニー覚醒技法)や心臓の鼓動を止める呼吸法、ルンゴム(空中歩行)、系観瞑想法などを独学で体得している。
2001年、全インド密教協会からヨーギーラージ(ヨーガ行者の王)の称号を授与される。アーカーシャ・ギリ(虚空行者)という修行名で毎年標高4000mのヒマラヤで修行を続けている。
成瀬ヨーガグループ主宰。倍音声明協会会長。日本書経画協会理事長。朝日カルチャーセンター講師。
【主要著書】
『キレイをつくるらくちんヨーガ』
『50歳からはじめるらくちんヨーガ』
『オフィスでもできるらくちんヨーガ』
『からだのお悩み解決!らくちんヨーガ』
『仕事力をUPする!らくちんヨーガ』
『ふたりではじめるらくちんヨーガ』(以上、中央アート出版社)
『ハタ・ヨーガ』
『呼吸法の極意 ゆっくり吐くこと』
『クンダリニー・ヨーガ』(以上、BABジャパン)
『仕事力を10倍高めるヨーガトレーニング』
『仕事力を10倍高める呼吸法トレーニング』
『仕事力を10倍高める瞑想トレーニング』(以上、PHP研究所)
『5分でできるスッキリ瞑想法』(日本実業出版社)など他多数。
【主要ビデオ&DVD】
『ハタ・ヨーガエクササイズ』
『ハタ・ヨーガアドバンス』
『ヨーガ呼吸法上巻・下巻』(以上、BABジャパン)
ビデオ『気持ち良くタバコがやめられる』(キュアー)など他多数。
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「みなさん、こんにちは」 会場の皆さんに挨拶をされた成瀬先生。呼吸についての主観を笑顔で述べられました。
「皆さん、普段何気なく行っている呼吸を意識したことはありますか。実は、呼吸には想像以上に深い意味が隠されています。呼吸に秘められた目的を会得するためには、確かなテクニックを身に付け、得られるエネルギーを感じることが何より大切です」
「可能な限り、ゆっくりと息を吸うにはどうすればいいと思われますか」
成瀬先生が皆さんに語りかけます。
「ペットボトルに水を入れる時、急いで入れると注ぎ口からこぼれますよね。呼吸にも同じことが言えるのです。ゆっくりとした呼吸が、空気を体内いっぱいに取り入れるコツなのです。
また丁寧な呼吸には、空気だけでなく生命の根源を成すプラーナ も取り入れる力があることも忘れないで下さい」
ここで成瀬先生は呼吸とプラーナの関係について少しお話をされました。
「ヨーガ呼吸法を、サンスクリット語で プラーナーヤーマ といいます。プラーナは生命(精気、宇宙に満ちている根源的生命エネルギー)、アーヤーマは伸ばす、拡張、コントロール、の意味です。つまり、ヨーガ呼吸法は単に呼吸のテクニックだけではなく、生命エネルギーを高め、拡張させる目的を含んでいるのです」
ここから成瀬先生は、幾多の呼吸法をひとつひとつ丁寧に説明されました。
「まずは完全呼吸法から始めましょう。完全呼吸法は三種類あるので順番にご説明致します」
「一つ目は下部完全呼吸法です。下部とはお腹を意味します。」
「お腹に手を当てて息を吐き終えてください。するとお腹はへこみます。そこでスッと力を抜いて再び息をゆっくりと吸えばまたお腹は膨らみます。これを下部呼吸法といいます。次いで胸を広げながら息を吸い、お腹をへこませながら息を吐く方法を中部呼吸法、肩を上げながら息を吸う方法を上部呼吸法と呼びます。そしてこれら3つの呼吸法を同時に行えば、全身を使った素晴らしい呼吸が可能となります。
具体的にはお腹に手を当てながらゆっくりと息を吐き、次いでお腹を膨らませて息を吸います。更に胸を開きながら吸い続け、最後に両肩を上げながら息を吸い切ります。最後にお腹をへこませながら息を吐くと胸が閉じ肩も降ります。ここまでの動作で一呼吸とします」
続いて行われたのは、鼻呼吸の指導です。
「呼吸で鼻を鳴らすのが鼻息。鼻で音を出すようにすると、やがて喉(のど)が鳴り出すようになります。これが喉息。ヨーガにおける呼吸は鼻息と喉息の中間ぐらいで音を出すのが良いとされています。また、吐き始めから終わりまで同じ音質、音量で行うことも重要です。
ではここで3人1組になり、それぞれが相手の呼吸音を聞き合った上でお互いにアドバイスしてみましょう」
さらに成瀬先生は以下の言葉を付け加えます。
「耳を塞いで呼吸を行うと自分自身の呼吸の欠点がより分かりやすくなります。少し慣れてきたならば耳を塞ぎ自身の呼吸音を確認しながらアドバイスを受けてみて下さい」
「片側の鼻をふさぐ呼吸法も体験してください。まず右手の人差し指を眉間(みけん)に当てながら鼻の右穴を親指で塞ぎ、ゆっくり吸って呼吸を止めます。 頭の中で 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 と、数えたらゆっくり吐いて一呼吸 …。 次に右穴を塞いでいる親指を外し、中指で左の鼻の穴を塞いだ上で一呼吸…。 これを繰り返してゆきます。ここで大切な事は、目を閉じて心を落ち着かせた呼吸を心がけることです。右穴と左穴では息の通り具合が違うので、極力バランスをとれるように心がけて下さい。そうすることによって潜在意識にバランスをとろうとする気持ちが生じ、呼吸のバランスが培われてゆくのです。この呼吸法は精神面への働きかけが大きいので、意識的に行う価値があるといえますね。
また息を吐くときは心臓へ、息を吸うときは眉間に集中するようにすると、さらに深いレベルでのバランス感覚が磨かれますので試してみてください」
「上記とは別に親指で鼻の穴を塞ぎ、残りの鼻の穴を薬指で半分塞ぎながら勢い良く音を立てて息を吸う方法もあります。吸いきったら親指側をやや緩めて音を出さないようにゆっくりと吐き出してください。その際、吸うときは空気の冷たさを、吐くときは暖かさを感じて下さい。この呼吸法は 1サイクル2~3分程度で行うのが良いでしょう」
成瀬先生は、さらに違った呼吸法も伝授されます。
「布巾をキュっとしめるように息を吐き、パッと緩めるように息を吸う呼吸法。これをヨーガではカパーラ・バーティ・クリヤー(頭蓋光明浄化法)と呼んでいます」
「人間は簡単に力を入れられますが、力を抜くのは難しいものです。この呼吸法の大切なポイントは文字通り「締める事によって吐き、緩める事によって自然に息が入る」 点にあります。具体的には 0.5秒で緩め、1秒待つというリズムで行いますが、力を抜くのが難しいので集中して行ってください。尚、0.5秒が難しければ1秒でも構いません」
「鼻を使い、同じ間隔で行う呼吸法もあります。スーハー、スーハーと8回呼吸を繰り返し、9回目に吸い込んだところで息を止め、落ち着いたところで細く長く息を吐くのです」
「私が “タンキング系” と名付けた呼吸法は、ゆっくりと息を吸い、口を開けたまま咽の奥を開閉しながら “カッカッカッカ・・・” と少しずつ空気を出してゆく方法です。
この呼吸法での “カッカッカッカ・・・” というのは、あくまでも空気の流れに過ぎず、音は出さずにリズムだけを刻むことが重要です。」
「逆に音を出しながら長く息を吐くといった方法もあります。歯を出しながら口をすぼめ、奥歯をあわせて舌先を上顎につけて息を止めます。そして舌を上顎から離すと息が出ます。この際、息の出方を勢い良くする為に口をすぼめる事が重要です。勢いをつけずにゆっくりと吐こうとすると空気が洩れ出ますので口をすぼめて勢い良く出した方が、あたかもホースの口を絞って水を撒くように長く息を保てます。またこれとは別に舌を離さずに行う呼吸法もあります。この場合、上顎につけた舌の両端を空気が抜けてゆく感じになります。
いいですか。それでは今からストップウオッチで秒数を計りますので、女性は最低でも 20秒、男性は30秒程度吐き続けてみて下さい」
幾多の呼吸法を惜しみなく紹介し、今回も講座時間の全てを使いきっての指導をされた成瀬先生は、最後に呼吸法の極意を伝授して下さいました。
「今日は色々な呼吸法を練習しましたが、呼吸を真剣に行うと、知識や集中力で頭がパンパンになるでしょう(笑)。これは、普段の私たちが無自覚に呼吸を続けているからで、今回のように意識的に身体をコントロールしようと集中すると、すぐにオーバーワークになってしまうのです。
私たちが自身の内面を深く見つめるために意識的に身体を使うことは、とても意味のあることです。それは身体を意識的に使うための集中力が潜在意識を介し、心の内面をより細かく見つめる手段と成り得るからです。
万が一、今回の呼吸法が難しく感じたならば、ご自身の身体に息を吐き切る事を教えてあげるだけでも結構です。たったそれだけのことでも、普段の呼吸が今よりゆっくりとしたリズムに変わり始めることに、正直驚かれると思います。
呼吸は意識を向けるだけで確実に深いものへと変化します。最初は形から入ると思われますが、呼吸をコントロールすることの習慣化が自律神経や感情面の安定を実現し、必ずや皆さんの人生に素晴らしい果実をもたらす事を決して忘れないで下さい」
ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。
気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。
スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
それでは次回のホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。どうぞご期待下さい。
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【 特別付録① 】
恒例となりました、成瀬先生の服装ワンポイントチェック!
今回の講座でも成瀬先生の服装にチェックすべきポイントを発見致しました。
↓ ココ
黒地に赤い幾何学模様がモダンな雰囲気。そして胸元に合わせるはオレンジ色の小さなボタン。半透明の質感に宿るキラリな光が生地の模様を引き締める、味わい深い組み合わせです。
オシャレですね!
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【 特別付録② 】
今回、特別にお披露目となった、成瀬先生愛用のチベッタンベル。
チベット密教の僧侶が使用する法具のひとつで、現地では場の浄化、仏に願いを届ける道具として使われているそうです。
濁りのない非常に澄んだ音色を奏でてくれるチベッタンベルは、
成瀬先生の講座に欠かせない重要なアイテム。
次回の講座で、その素晴らしい音色を聞きにいらっしゃいませんか。







