2008年12月
ファミリーコンステレーション~無意識に働く「存在」の力~
畦 昌彦 先生
皆さん、こんにちわ。今回のPBI上質人生大学公開講座レポートは、昨今急速に注目を集めつつあるセラピーのひとつであり、また上質人生大学講座として多数のリクエストのお声を頂いております畦先生の 「 ファミリーコンステレーション~無意識に働く「存在」の力~ 」 をご案内致します。
![]()
ファミリーコンステレーションとは、ドイツ人セラピストバート・ヘリンガーによって始められた家族システムそのものを扱うセラピーです。
このセラピーでは、クライアント(依頼者)の問題をその人だけの問題として見るのではなく、クライアントの家族までをも一つのシステムとしてとらえる体系的な家族療法で、具体的には 「病気・精神疾患・人間関係のトラブルなど個人に起きる様々な問題の根底には家族全体、または家系のシステムのなかに生じた問題=『排除された存在』がある」 と考えるのです。
例えば、ある家庭の子供が喘息などの発作を持っており、両親が喧嘩を始めると決まってその発作が起こるケースがあるとします。子供に発作が起これば、当然両親はその子に付きっ切りになります。この場合、ファミリーコンステレーションでは原因を本人の問題としてではなく、家族全体の関係性で捉えます。つまり、この発作を家族という一つの身体に現れたひとつの症状とみなし、その局所的な症状を治すのではなく、身体全体に対して働きかけてゆくのです。
実際のワークでは、クライアントとその家族関係者にあたる代理者を同じフィールドに並べ、そこでおこる各々の現象から人間関係のもつれを読み取ります。そして、万一そのもつれが親から子へと代々引き継がれているような場合には、世代を超えた大きな枠組みとして各々の魂が関わるもつれを解きほぐし、クライアントが精神的症状、病気、家系的に受け継がれる問題などを乗り越えて生きることができるように、と手助けをするのです。
私達は、この世に生まれた瞬間から家族に所属します。排除された存在はワークの中でメンバーとしての本来の位置に戻され、所属する権利を回復します。そのことによって混乱した家族システムは秩序ある家族システムへと変換されていきます。そのことによって個人の抱えているさまざまな問題が解消されたり、生活環境が劇的に変化してしまうということが起こり得るのです。
さらにこの方法は家族だけではなくさまざまな組織にも応用することができるので、企業経営におけるビジネスコンステレーションという形での活用も試みられております。
上記の説明を待つまでもなく、いまや心理療法を超え、企業経営、組織管理という分野をもその対象としながら進化し続けている大注目のアプローチ法なのです。
![]()
【畦 昌彦(うね まさひこ) 先生】
1961年大阪生まれ。18歳で僧侶の道を志し、一般の家庭より出家。仏教大学を卒業後、浄土宗僧侶となる。26歳で滋賀県甲賀市法蔵院に住職し現在に至る。住職就任後、さまざまな人間の苦悩、問題に向き合う必要を感じ、修験道、運命学、カウンセリング、さまざまなセラピーを学び、これらを通して多くの人々にかかわる。
現在は浄土宗大本山清浄華院の法務部長として本山の運営にもかかわり、平成17年より同本山において、浄土宗の僧侶を対象にNLP・ファミリーコンステレーションを中心にしたカウンセリングの研修会を開催している。
![]()
今回は筆者も代理人として幾度か指名されましたが、その際に感じた興味深い感想を今回のレポートにて述べさせていただきたいと思います。
と、その前にファミリーコンステレーションをご理解いただくためのセラピーの流れを簡潔に説明させていただきます。
① クライアント(相談者)がご自身の問題に沿った代理人を参加者の中から直接指名する
② 代理人として指名された第 3者は クライアントが指示する場所に移動する
③ ファシリテーター(セラピーを仕切る役目)は代理人に、今立っている場所で何を感じているかを聞き出し、それを元にクライアントに感想を訊ねる。
さらにファシリテーターはクライアントの心の変化に応じて代理人同士の立ち位置を調整し、それぞれの代理人が新しい場所に立つことで生じた感覚を聞きだすことによってクライアントがさらに何を感じているかを訊ねる
④ クライアントが問題解決に必要な何かに気付くまで③を繰り返す
以上が ファミリーコンステレーションの大まかな流れになるのですが、不思議に思えることは全ての代理人はクライアントのプライベートな事柄を何一つ知らないにもかかわらず、あたかも精密機械における歯車のように、それぞれが呼応して自然と有機的に動き出してしまうという点です。もっとも、こういった些細な情報を丹念に拾い集めるには、深い洞察力と高い技術が求められます。
こういった点についての心構えについて畦先生は、「私たちファシリテーターは、このような個人のデリケートな情報を扱うことに関して細心の注意を払っておられますし、また、クライアントが信頼するに足るファシリテーターでなければならないという、意識の高さは常に持ち合わせるように心がけております」と、述べられていました。
![]()
筆者が次男役としての代理人に指名された際 (実社会において筆者は次男ではありません) は何も感じなかったのですが、いざフィールドに立つと先ず頭に浮かんだのが 「次男ってすごく気楽」 でした。(補足:ここで述べている “気楽” とは、父親役や長男役のときに生じた 「システム全体(家族全体)を最後まで見届けなくてはならない」、という主旨の責任を感じなかったという意味で、あくまでも筆者の主観的な感想です)。そして周囲に立っておられる家族それぞれの代理人の方々を改めて見回してみると、自分が置かれたポジションを理解できるのです。
次いで一息ついたところでファシリテーターから、対象となる代理人について感想を問われると、種々多様な感情が湧き上がる中で、必ず一番強く感じる気持ちがシンプルに心に残り、そして表現することができるのです。
また、亡くなられたご主人役の代理人も務めさせていただきましたが、その際にフィールドに立った時の気持ちはとにかく特殊なものでした。一言で言うと 「何も感情が沸かない」 のです。
代理人としてフィールドに立つ場合、夢遊病者のように自意識がなくなるのではなく、あくまでも本来の自分自身を保ちながら務めている役柄において湧き上がる感情をピックアップしていきます。ですから、ファシリテーターから感想を問われても感情が沸かなかったことに対して内心、焦りが生じました。
しかし、感情が沸かないものは仕方ないのでファシリテーターに 「何も感じません」 と表現すると、ファシリテーターは対象となる代理人を次々と代えながら、何か情報を引き出せないかと務められます。
すると、ある対象者と向き合った瞬間とめどなく悲しみの感情が湧き上がり、それは思わず涙するほどでした。自分でも驚いたのですが、その感情の源は 「その人と向き合うことによって “私は死んでいる” ことを認識できた」 というものでした。
上手く表現することはできませんが、先程の代理人であった私は “死んでいることを認識していない” 状態だったのです。それが、ある方と向き合った瞬間に、「何故この人は悲しんでいるのか」 「何故私はここに居るのか」 そして 「私に何があったのか」 を瞬間的に理解することができたのです。
それもある意味衝撃的な体験でした。何故なら、筆者は死んだ経験がないのに死んだ経験を味わうことができ、私が死ぬことで悲しむ人が生じることもある ということを目の当たりにすることができたからです。
もちろん、私が感じた感情を元にファシリテーターがシステムに生じたもつれを紐解き、それによってクライアントは心のわだかまりに光を当てることができましたが、それは同時に代理人の心に何がしかの光を残すと筆者には感じられました。
![]()
ファミコンの持つ奥深さについて畦の先生は次のようにおっしゃられています。
「 ファミリーコンステレーションでは、クライアントから事前に情報をもらうことはありませんが、赤の他人である代理人がもたらす ”何か“ によってクライアントが抱える色々な問題がわかってきます。この不思議な感覚は、実際に代理人を体験してこそ理解できる類のものだと思います。
システムの中では、常に家族のメンバーは平等に席を与えられています。しかし、亡くなった子供がいた場合、往々にしてその席には次の子供が座ろうとし始めます。この現象を我々は同一化と称し、理屈や他のセラピーではどうにもならない現象と捕らえておりますが、この場合の解決法としては該当者をシステム上の本来の席に戻すことを大変重要視しております。その結果、本人(クライアント)が家族に受け入れられる、もしくは家族を受け入れることができた場合に何かが必ず変化し始める、否その変化の一点にこそ問題解決の糸口が存在するのです。
ポイントは順序のもつれです。順序が持つシステムエネルギーの流れの良し悪しが基本なのです。生命エネルギーの流れが滞ると、そこに悪い感覚が発生し、様々な問題を生み出していきます。代理人がフト漏らす何気ない言葉にこそ、システムのもつれを生み出した原因が隠されている場合が多いのです。
決して忘れないでください。自身が所属する家族システムのどこに己のポジションがあるのか、そして自分自身がそのシステムからどのような影響を受けているのか。普段はなかなか意識することのない概念ですが、自分自身ではどうしても超えられえない問題や壁の根本がそのシステムの中に隠されているかもしれないのです」
![]()
ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「バーチャルホロン大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。
気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。
スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
それでは次回のホロンPBI主催の「バーチャルホロン大学公開講座」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。どうぞご期待下さい。








