上質人生大学

特別講座レポート

2008年8月
ファミリーコンステレーション / ~無意識に働く「存在」の力~
畦 昌彦 先生

 

 皆さん、こんにちわ。

 今回の PBI上質人生大学公開講座レポートは、昨今急速に注目を集めつつあるセラピーのひとつであり、また上質人生大学講座として多数の リクエストのお声を頂いております畦先生の  「 ファミリーコンステレーション~無意識に働く「存在」の力~ 」 をご案内致します。

 

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 ファミリーコンステレーションとは、ドイツ人セラピストバート・ヘリンガーによって始められた家族システムそのものを扱うセラピーです。

 このセラピーでは、クライアント(依頼者)の問題をその人だけの問題として見るのではなく、クライアントの家族までをも一つのシステムとしてとらえる体系的な家族療法で、具体的には 「病気・精神疾患・人間関係のトラブルなど個人に起きる様々な問題の根底には家族全体、または家系のシステムのなかに生じた問題=『排除された存在』がある」 と考えるのです。

 例えば、ある家庭の子供が喘息などの発作を持っており、両親が喧嘩を始めると決まってその発作が起こるケースがあるとします。子供に発作が起これば、当然両親はその子に付きっ切りになります。
  この場合、ファミリーコンステレーション では原因を本人の問題としてではなく、家族全体の関係性で捉えます。つまり、この発作を家族という一つの身体に現れたひとつの症状とみなし、その局所的な症状を治すのではなく、身体全体に対して働きかけてゆくのです。

 実際のワークでは、クライアントとその家族関係者にあたる代理者を同じフィールドに並べ、そこでおこる各々の現象から人間関係のもつれを読み取ります。
  そして、万一そのもつれが親から子へと代々引き継がれているような場合には、世代を超えた大きな枠組みとして各々の魂が関わるもつれを解きほぐし、クライアントが精神的症状、病気、家系的に受け継がれる問題などを乗り越えて生きることができるように、と手助けをするのです。

 私達は、この世に生まれた瞬間から家族に所属します。排除された存在はワークの中でメンバーとしての本来の位置に戻され、所属する権利を回復します。
  そのことによって混乱した家族システムは秩序ある家族システムへと変換されていきます。そのことによって個人の抱えているさまざまな問題が解消されたり、生活環境が劇的に変化してしまうということが起こり得るのです。

 さらにこの方法は家族だけではなくさまざまな組織にも応用することができるので、企業経営におけるビジネスコンステレーションという形での活用も試みられております。

 上記の説明を待つまでもなく、いまや心理療法を超え、企業経営、組織管理という分野をもその対象としながら進化し続けている大注目のアプローチ法なのです。

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畦 昌彦(うね まさひこ) 先生
  
1961年大阪生まれ。
  18歳で僧侶の道を志し、一般の家庭より出家。仏教大学を卒業後、浄土宗僧侶となる。26歳で滋賀県甲賀市法蔵院に住職し現在に至る。
  住職就任後、さまざまな人間の苦悩、問題に向き合う必要を感じ、修験道、運命学、カウンセリング、さまざまなセラピーを学び、これらを通して多くの人々にかかわる。

 

 現在は浄土宗大本山清浄華院の法務部長として本山の運営にもかかわり、平成17年より同本山において、浄土宗の僧侶を対象にNLP・ファミリーコンステレーションを中心にしたカウンセリングの研修会を開催している。

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0808_une_01.jpg 「みなさん、はじめまして。私が 畦と申します。宜しくお願い致します 」  畦先生が会場の参加者に挨拶をされました。

 「みなさんは ファミリーコンステレーションをご存知でしょうか。このセラピーは頭で理解しようとしてもなかなか把握しきれない、やや特殊な性質のものですが、現在のドイツでは非常にオーソドックスなセラピーとして認知されています。
  創始者である ドイツ人セラピスト:バート・ヘリンガーは宣教師からセラピストに転向された人物で、布教のために訪れたアフリカで部族とふれあい、 40代で宣教師をやめ、アメリカで対抗催眠を学び、ドイツに帰国しました。
 彼は、カウンセリングを受けても一定水準以降は改善が図れない多数のクライアントのケースから 「問題は個人だけではなく、クライアントの所属する環境(先祖まで含む繋がり=家族=システム)に帰依するのではないか」 と考え、その気付きによって家族システムそのものを扱うセラピーを考案したといわれております」


 

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 まずは挨拶代わりにファミリーコンステレーションを簡単に説明された畝先生は、引き続き言葉を述べられました。

 

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 「人間には集団のルールに必ず従う、という基本的な特徴があります。別のいいかたをすれば  “人間は集団に所属する” のです。

 

  もしもそれを頭で拒否した場合、集団への帰属という本能的欲求とのズレが生じますので、その矛盾を覆い隠そうとします。そのために例えば、集団から距離を置くために、嫌われるように振る舞い、結果、嫌われたと受け取るのですが、そこに本来の自分は存在しえないが故に苦しみを感じてしまうのです。

  このような現象は、ある科学的な実験にヒントを見出すことができます。心臓の細胞を生存可能な特殊な環境に置いた上で切り刻むと、個々は独立した断片であるにもかかわらず、やがて全ての細胞が同じタイミングで鼓動しはじめます。
  我々人間の本質的な心の部分にも、同じ傾向があると考えると、今まで見えなかった心の葛藤に光を当てることができるのです」

 


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0808_une_03.jpg 「ここに、愛されずに成長したかわいそうなA少年がいるとしましょう。彼は、彼自身も納得できない小さな自分が自分自身の中にいることに苦しんでいます」

 「これは、おしめをつけたまま大人になったようなものです。 なぜなら人間は大人になっても小さなときの感情にしばられ続けるからです。
  もちろん、このようなことは認めがたいので、A少年は無意識のうちに自分を縛り付けている感情などなかったコトにします。すると、それを覆い隠すために膨大な精神的エネルギーが必要となり、A少年は絶えず消耗し、本来の自分自身も見失い、結果、疲労困憊してしまうのです」


 

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 「みなさんは “絞首台の微笑み” という言葉をご存知でしょうか。これは絞首台に送られた処刑囚が絶望的状況にも関わらず微笑む…つまり辛い状況にも関わらず満たされた気持ちになる、という一見矛盾した現象を言い表した言葉です」

 「バート・ヘリンガーは、自ら行ったワークの最中に参加者が悲惨な経験を何故か笑顔で語る様を見て疑問を抱きました。
  その後、彼は “この種の微笑には 「自分が誰かの役に立っているという思い」 があるのではないか” といった考察をし、そこを出発点として “代理人” という概念を導き出し、第三者を客観的な立場に立たせることによって、依頼者にまつわる様々な感情を引き出す “システム” を確立したのです」

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 「システムを駆使しファミリーコンステレーションを行った場合、セッションを受けた本人(クライアント)が気付き、生まれ変わることはもちろんのことですが、同時に直接セッションを受けていないはずのクライアントに関連する人々(実在する家族やパートナー、そして所属組織など)にも変化が起きることを、私は度々目撃しております。
  
これはシステムの構造、言い換えれば大地そのものが揺れ動き、その上に立つ建造物全てに影響が及ぶような状況を意味していると考えられるのです。つまり、人は一人では生きておらず、目に見える表面的な現象と同じように見えない深い箇所でも他人と繋がっている、という普遍的な事実を物語っているのです。
 もっとも、前もって心の準備ができていなければ今まで築き上げてきた “こうあるべきだ” “こうあらねばならない” といったその人の持つ心理的な概念が使えなくなる可能性も出てきます。それは人間が基本的に持っている “現状から変化したくない、手放したくない” といった心理的傾向と外的状況にズレが生じるからですが、一般的にはこういった外的変化に対して内面(意識)は抵抗を試みようとするものです。しかし深層心理で繋がっている土台が既に変化しているので、自身の置かれた外的状況と内面の間に混乱が生じてしまうのです」

 

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 「上記のような自分自身に起こった変化を “これはきっと、幼児期のあの体験が元になっているに違いない” と考えるのはごく自然な反応ですが、残念ながらこういった推測はことごとく外れてしまいます。この場合、問題の根底は本人にはわからない類であるケースがほとんどですし、もちろんファシリテーター (セラピーを仕切る役目)である、私どもにもわかり得ないものなのです 。

 

  セッションとしてのファミリーコンステレーションで起こる全てのことは予測不可能であり、現象は常に変化し続けます。クライアントの事情をまったく知らない赤の他人である代理人がフィールドで感じる感覚、感情こそが、クライアントが抱える心の問題を解決へと導いてくれる鍵なのです。不思議な話ですが、これが真実であります」

 以上のようにファミリーコンステレーションについての詳しい説明をされた畦先生は、以降、講座内で希望者を募り、実際のセッションを行うに至りました。


 

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 ここで、ファミリーコンステレーションをご理解いただく上でセラピーの流れを 簡潔に述べさせていただきます。

① クライアント(相談者)がご自身の問題に沿った代理人を参加者の中から直接指名する

② 代理人として指名された第 3者は クライアントが指示する場所に移動する

③ ファシリテーター(セラピーを仕切る役目)は代理人に、今立っている場所で何を感じているかを聞き出し、それを元にクライアントに感想を訊ねる。
 さらにファシリテーターはクライアントの心の変化に応じて代理人同士の立ち位置を調整し、それぞれの代理人が新しい場所に立つことで生じた感覚を聞きだすことによってクライアントがさらに何を感じているかを訊ねる

④ クライアントが問題解決に必要な何かに気付くまで③を繰り返す

 

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 以上が ファミリーコンステレーションの大まかな流れになるのですが、不思議に思えることは全ての代理人はクライアントのプライベートな事柄を何一つ知らないにもかかわらず、あたかも精密機械における歯車のように、それぞれが呼応して自然と有機的に動き出してしまうという点です。

 

  もっとも、こういった些細な情報を丹念に拾い集めるには、深い洞察力と高い技術が求められます。

 こういった点についての心構えについて畦先生は、「私たちファシリテーターは、このような個人のデリケートな情報を扱うことに関して細心の注意を払っておられますし、また、クライアントが信頼するに足るファシリテーターでなければならないという、意識の高さは常に持ち合わせるように心がけております」と、述べられていました。

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 今回のレポートでは、実際のセッションで出現した事例をご紹介しつつ、フィールドで生み出されるライブ感を少しでもお感じいただければ幸いかと存じます。
  
(個人的な内容を含みますので、レポートでご紹介する事例はファミリーコンステレーション全体の流れを追える範囲にとどめております)

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0808_une_06.jpg 「どこにいっても嫌われる(態度で示される)」 との悩みを抱えるクライアント。畦先生(以降、ファシリテーター)は、まずクライアントの源家族(先祖を含む家族構成)を聞き出します。

 結果、病気の母を中心に家族システムがもつれてしまっている現状が浮かび上がる。父親の代わりに長男の代理人が父親の役目を引き継ぐ意思をみせるも母親の代理人は拒否。
  ここでファシリテーターは母の病気役、そして死の役目を務める代理人をも投入し、もつれた家族システムの解明に努める。

 病気と母親、そして本人の代理人同士の関係に安定感があり、長男の代理人が絶望を感じた瞬間、妹役の代理人の身体が両親の元に動き、同時に病気の代理人がその場を去る。
  このように誰かと誰かが密接に繋がることで他の誰かをはじきだし、はじき出された人間は負の感情を投げ返す。

 ここでファシリテーターは、クライアントに対し 

 「このようにシステムとして安定しているので、目の前の人間が変わるだけで何度も繰り返してしまう。これがあなたの置かれた状況です。
  
あなたの魂のシステムは母とあまりにも一体化しているが、現実を生きるあなたは、もはやその状況を変えたいと願っている。しかし、現実のあなたとシステムのあなたがあまりにも乖離(かいり)してしまっている点を、まずは理解しなければなりません」

 この状況を打破するために、ファシリテーターはクライアントに母親の代理人と向き合ってもらい、ゆっくり近づき言葉を投げかけるように誘導します。

 

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 すると、そこに思いがけない状況が出現します。息を引き取る最後の瞬間です。

 


  そこでクライアントはその時の態度を謝り、母親の代理人からある言葉を受け取ります。そして、看病も含め、役に立てなかったことを悔い謝り、母親に認めてもらった後、母親に今までの行動の一切を(形式的に)お返しし、心の中にお母さんの居場所を作った上で現実の世界に目を向けるきっかけを掴みむことができました。

 最後の言葉は母(代理人)、クライアント(本人)とも 「ありがとう」 でした。

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0808_une_08.jpg おおよそ半日を費やした講座もあっという間に終わりを向かえ、締めくくりとして畦の先生は次のようにおっしゃいました。

 「 ファミリーコンステレーションでは、クライアントから事前に情報をもらうことはありませんが、赤の他人である代理人がもたらす ”何か“ によってクライアントが抱える色々な問題がわかってきます。この不思議な感覚は、実際に代理人を体験してこそ理解できる類のものだと思います。
  
システムの中では、常に家族のメンバーは平等に席を与えられています。しかし、亡くなった子供がいた場合、往々にしてその席には次の子供が座ろうとし始めます。
  この現象を我々は同一化と称し、理屈や他のセラピーではどうにもならない現象と捕らえておりますが、この場合の解決法としては該当者をシステム上の本来の席に戻すことを大変重要視しております。その結果、本人(クライアント)が家族に受け入れられる、もしくは家族を受け入れることができた場合に何かが必ず変化し始める、否その変化の一点にこそ問題解決の糸口が存在するのです」

 「ポイントは順序のもつれです。順序が持つシステムエネルギーの流れの良し悪しが基本なのです。生命エネルギーの流れが滞ると、そこに悪い感覚が発生し、様々な問題を生み出していきます。
  代理人がフト漏らす何気ない言葉にこそ、システムのもつれを生み出した原因が隠されている場合が多いのです」

 「決して忘れないでください。自身が所属する家族システムのどこに己のポジションがあるのか、そして自分自身がそのシステムからどのような影響を受けているのか。普段はなかなか意識することのない概念ですが、自分自身ではどうしても超えられえない問題や壁の根本がそのシステムの中に隠されているかもしれないのです」


 

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 ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。

 気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。

 スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 

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