上質人生大学

特別講座レポート

2008年3月
呼吸法とその極意
成瀬雅春 先生

今回の上質人生大学公開講座は 「 呼吸法とその極意 」 です。

生命にとって、必要不可欠な呼吸でありながら、普段何気なくしている呼吸。その呼吸に実は驚くべき秘密があり、能力開発があり、人生を左右する決定的な要 因をも内包していることは一般的にはあまり意識なされていないのかもしれません 。だからこそ呼吸の大切さ、奥深さに触れる必要があると思いませんか?

今回は、その呼吸法をインド政府からヨーギラージ(ヨーガ行者の王)という称号を授与されている世界最高峰レベルのヨーガ行者である成瀬先生から直接学ぶ講座となりました。
成瀬先生がヨーガ経典に基づきヒマラヤ修行で練り上げられたテクニックの数々をご披露された本レポートを是非ご覧ください。

 

成瀬 雅春 (なるせ まさはる) 先生
ヨーガ行者、ヨーガ指導者。12歳頃に「即身成仏」願望が生じ、今日までハタ・ヨーガを中心に独自の修行を続けている。1976年からヨーガ指導を始め、1977年2月の初渡印以来、インド、チベット、モンゴル、ブータンなどを数10回訪れている。
『サンデー毎日』(1983年5月1日号)のグラビアに「驚異の空中浮揚術」として8枚連続写真が掲載され一般に知られるようになった。さらに『週刊文 春』(1988年4月21日号)に「空中大浮揚」として地上1メートルを超える写真が掲載された。空中浮揚以外にもシャクティチャーラニー・ムドラー(ク ンダリニー覚醒技法)や心臓の鼓動を止める呼吸法、ルンゴム(空中歩行)、系観瞑想法などを独学で体得している。
2001年、全インド密教協会からヨーギーラージ(ヨーガ行者の王)の称号を授与される。アーカーシャ・ギリ(虚空行者)という修行名で毎年標高4000mのヒマラヤで修行を続けている。
成瀬ヨーガグループ主宰。倍音声明協会会長。日本書経画協会理事長。朝日カルチャーセンター講師。

 

 

主要著書
『キレイをつくるらくちんヨーガ』
『50歳からはじめるらくちんヨーガ』
『オフィスでもできるらくちんヨーガ』
『からだのお悩み解決!らくちんヨーガ』
『仕事力をUPする!らくちんヨーガ』
『ふたりではじめるらくちんヨーガ』(以上、中央アート出版社)
『ハタ・ヨーガ』
『呼吸法の極意 ゆっくり吐くこと』
『クンダリニー・ヨーガ』(以上、BABジャパン)
『仕事力を10倍高めるヨーガトレーニング』
『仕事力を10倍高める呼吸法トレーニング』
『仕事力を10倍高める瞑想トレーニング』(以上、PHP研究所)
『5分でできるスッキリ瞑想法』(日本実業出版社)など他多数。

主要ビデオ&DVD
『ハタ・ヨーガエクササイズ』
『ハタ・ヨーガアドバンス』
『ヨーガ呼吸法上巻・下巻』(以上、BABジャパン)
ビデオ『気持ち良くタバコがやめられる』(キュアー) など他多数。

 

 

「みなさん、こんにちは」  会場の皆さんにに挨拶をされた成瀬先生は、講座冒頭、次のようにおっしゃいました。

「動物は、一生涯に行う呼吸数が決まっています。もちろんこのことは人間も例外ではありませんので、例えば寿命 80年の人が40歳になった時そのことに気付き、残りの人生をゆっくりと2倍の長さで呼吸をし続けたなら数学的には寿命の80年に40年をプラスして 120歳まで生きられる計算になるのです」

 

 

「呼吸はわずか 10分であっても止めれば必ず命を落とします。そういった意味で呼吸は人間にとってとても大切なコトだといえます。

その大切な呼吸ですが空気を吸う事に偏る考えはあまりよいとは言えません。例えば深呼吸などでも、昔から「ハイ、吸ってぇ」などと言われてから息を吸い込 むでしょう。でも基本的には、汚いコップにいくら綺麗な水を入れてもダメなんです。まずはコップの中のドロ水を捨ててからでないと綺麗な水は入りません が、同じ事が呼吸にも当てはまります。
まず空気を吐き出し身体の中を空っぽにしてから空気を吸わなければ、本当に呼吸しているとは言えません。つまり、初めに取り組むべきは吐く事を中心に考えることなのです」と呼吸の基本的概念を話される成瀬先生。

 

 

「深い呼吸が大切だという事がわかっていても、具体的にどうすればよいかがわからない …といったケースがよく見受けられます。このような迷いは肺活量と呼吸の深さが単純には比例しないという事実があるからです。このポイントを見失えば袋小 路に入ってしまうのもムリはありません」

「バケツの水を捨てる場合、パッと捨てただけでは水が底に残ってしまうので不完全といえます。しかし少し時間をかけてバケツを逆さまにすれば完全に中身を 捨て去る事が出来るハズ。この 「時間の概念」 を呼吸法にも応用し、ゆっくりと時間をかけて肺の空気を吐き出すことは何より重要なポイントのひとつなの です」

「子宮の中で羊水に満たされて育っ てきた赤ちゃんは産まれた瞬間、先ず 「おぎゃー」 と息を吐き出して、この世界で生きてゆく為に必要な呼吸の第一歩を踏み出します。そして長い年月を生 き、天寿を全うして死ぬその瞬間、人は息を吸って死んでゆきます。つまりスタートで息を吐き、息を吸ってゴールを迎えるというのが人間の一生なのです」 と、矢継ぎ早に話された後、文字通り一息入れられた成瀬先生です。

 

 

「ではこの辺で実際に深い呼吸を体験して頂きましょう。まず初めに、各自楽な姿勢で座ってみて下さい。
そして、尾?骨(びていこつ)から頭頂骨までの身体の中心線が曲がらないように、真っ直ぐなイメージを持って目を閉じて下さい。出来ましたらそこで、自身 の呼吸を観察して下さい。吸い込んだ空気は肺に入ると考えた人は頭の知識が優先しています。自身の感覚を大切にしてよく観察してください。そうすれば、吸 い込む息は決して均一ではなくムラがあることが分かると思いますので、そのムラに端をなす 「体内のゆらぎ」 を感じて下さい。これだけでヨーガにおける 呼吸のポイントの8割ぐらいはつかめたといって良いと思います」

笑顔で話される成瀬先生は、会場内の「呼吸」をさらなる高みへと導かれます。

「息をゆっくり吐いて  … そしてゆっくり吸って呼吸を止めます。 頭の中で 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 と、数えたらゆっくり吐き、再度ゆっくり吸い始めま す。 (このタイミングで呼吸を数度繰り返す)  さて、このようにゆっくりと落ち着いた呼吸が出来たなら、次は片側の鼻の穴を塞いで呼吸をしてみましょ う。
まず右手の人差し指を眉間(みけん)に当てた上で親指を使って鼻の右穴を塞ぎます。そして一呼吸 …。 次に右穴を塞いでいる親指を外し、中指で左の鼻の穴を塞いだ上で一呼吸…。 これを繰り返してゆきます。ここで大切な事はまず目を閉じて心を落ち着 かせてから、先程のような落ち着いた呼吸を心がけるという点です。右穴と左穴では息の通り具合が違うので、極力バランスをとれるように心がけて下さい。そ の心がけによって潜在意識にバランスをとろうとする気持ちが生じ、習慣化によって通常呼吸のバランスが培われてゆくのです。この呼吸法は精神面への働きか けが大きいので、意識的に行う価値があるといえますね。
また息を吐くときには心臓へ、息を吸うときには眉間に集中するようにすると、さらに深いレベルでのバランス感覚が磨かれることとなりますので試してみてください」

 

 

続いて成瀬先生は全身を使った呼吸法の伝授も行われました。

「お腹に手を当てて息を吐き終えてください。するとお腹はへこみます。そこでスッと力を抜いて再び息をゆっくりと吸えばまたお腹は膨らみます。これを下部 呼吸法といいます。次いで胸を広げながら息を吸い、お腹をへこませながら息を吐く方法を中部呼吸法、肩を上げながら息を吸う方法を上部呼吸法と呼びます。 そしてこれら3つの呼吸法を同時に行えば、全身を使った素晴らしい呼吸が可能となってきます。
具体的にはお腹に手を当て息を吐き、お腹を膨らませながら息を吸います。更に胸を開きながら吸い続け、最後に両肩を上げながら息を吸い切ります。そしてお腹をへこませながら息を吐くと胸が閉じ肩も降ります。ここまでの動作で一呼吸とします。
実はこれが、講義の冒頭でもお話した 「バケツの水を捨て切る=時間をかけた呼吸」 を行う方法のひとつなのです」

 

 

短い休憩時間の後、再度、成瀬先生の指導が再開されます。

「呼吸で鼻を鳴らすのが鼻息。さらに鼻で音を出すようにすると、やがて喉(のど)が鳴り出すようになります。これが喉息。ヨーガにおける呼吸は鼻息と喉息の中間ぐらいで音を出すのが丁度良いといわれています。
ではここで3人1組になり、それぞれが相手の呼吸音を聞き合った上でお互いにアドバイスしてみましょう」

そして成瀬先生は以下の言葉を付け加えられます。

「耳を塞いで呼吸を行うと自分自身の呼吸の欠点がより分かりやすくなります。少し慣れてきたならば耳を塞ぎ自身の呼吸音を確認しながらアドバイスを受けてみて下さい」

「上記とは別の方法として親指で鼻の穴を塞ぎ、薬指を鼻腔に突き上げるように当てて残りの鼻の穴を半分塞ぎます。そして音を立てて勢い良く息を吸う方法も あります。吸いきったら親指側をやや緩めてゆっくりと音を出さないように吐き出してください。その際、吸うときは冷たさを、吐くときは暖かさを感じて下さ い。この呼吸法は 1サイクル2〜3分程度で行うのが良いでしょう」

成瀬先生は、さらに違った呼吸法も伝授されます。

「布巾をキュっとしめるように息を吐き、パッと緩めるように息を吸う呼吸法。これをヨーガではカパーラ・バーティ・クリヤー(頭蓋光明浄化法)と呼んでい ます。この呼吸法の大切なポイントは文字通り「締める事によって吐き、緩める事によって自然に息が入る」点にあります。具体的には 0.5秒で緩め、1秒待つというリズムで行いますが、力を抜くのが難しいとされます。尚、0.5秒が難しければ1秒でも構いません」

「音を出しながら長く息を吐くといった方法もあります。歯を出しながら口をすぼめ、奥歯をあわせて舌先を上顎につけて息を止めます。そして舌を上顎から離 すと息が出ます。息の出方を勢い良くする為に口をすぼめる事が重要です。逆に勢いをつけずにゆっくりと吐こうとすると逆に空気が洩れ出てしまいます。それ よりも口をすぼめて勢い良く出した方が、あたかもホースの口を絞って水を撒くように長く息を保てます。
またこれとは別に舌を離さずに行う呼吸法もあります。この場合、上顎につけた舌の両端を空気が抜けてゆく感じになります。いいですか。それでは今からストップウオッチで秒数を計りますので、女性は最低でも 20秒、男性は30秒程度吐き続けてみて下さい」

このように各種呼吸法を紹介、指導された成瀬先生は、最後に全身を使った呼吸法を伝授して下さいました。

 

 

講座も残り時間わずかとなり、様々な呼吸法を伝授された成瀬先生は、最後に次のように述べられました。

「今日は色々な呼吸法を練習しましたが、そのなかでご自身の気に入った呼吸法が一つでもあれば、それだけで構わないので日々の生活の中で試してみてくださ い。呼吸は意識を向けるだけで確実に深いものへと変化します。それは 「呼吸サイクルが落ち着く」 ということですが、そのリズムこそが重要なのです。ご 自身の身体に息を吐き切る事を教えてあげれば、普段の呼吸も今よりゆっくりとしたリズムに変化してゆきます。
例 えば花粉症の方がいらっしゃるとします。辛い病気ですが、呼吸を整えることによりそこに何かしらの楽しみを見出せるかもしれません。人生は楽しみのイベン トだけを求め存在するものではなく、例え辛く苦しい状況にあっても、生きていることを少しでも楽しむ姿勢こそが大切であり、呼吸法はその手助けと成り得る 手段の一つであると私は考えます。
1つでもいいから面白いと感じられた呼吸法を身に付けて下さい。その恩恵は必ずや皆さんの人生に素晴らしい果実をもたらす事になるでしょう」

 

 

ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホ ロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。

気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。
スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

それでは次回のホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。 どうぞご期待下さい。

 

 

 

特別付録
恒例となりました、成瀬先生の服装ワンポイントチェック!

今回の講座でも成瀬先生の服装にチェックすべきポイントを発見致しました。

ココ
黒地にシルバーの模様入りシャツは揺るぎない大地のごとく。その岩肌にキラリと光る小粋な白ボタンはまるで掘り出されたばかりの宝石のよう。

生地のシックさに華やかさをあしらった、高等テクニックが本当にお見事デス。

オシャレですね!