上質人生大学

特別講座レポート

2008年3月
播磨陰陽師講座 / ~ 祝詞によく出る日本神話・古事記(ふることのふみ)の世界を味わう ~ その2
尾畑 雁多 先生

 皆さん、こんにちわ。今回の上質人生大学公開講座レポートは、「 播磨陰陽師講座 / ~ 祝詞によく出る日本神話・古事記(ふることのふみ)の世界を味わう ~その2 」 をご案内いたします。

 

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 一昨年より、ホロン上質人生大学公開講座におきまして幾つかの祝詞(のりと)をご紹介してまいりましたが、さらにもう一段、祝詞を深いレベルで理解し、活用する為には、「古事記(こじき:ふることのふみ)」に載っている神話を読む必要があるといわれております。 しかし、古事記は最も古い本であり、しかも難解な書のひとつとされていますのもまた事実です。

 そこで今回の播磨陰陽師セミナーでは、この「古事記」から重要な部分のみを抜粋して、その意味や、あらすじの解説などを行わせていただくこととなりました。それは古文としての古事記を理解すると同時に、神話としての「古事記」を味わうことにも繋がります。

 このチャンスに、美しい日本の神話にふれてみませんか?

 

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i-obata.jpg尾畑 雁多(おばた かりんど) 先生】 
  1960年、赤穂浪士の子孫としてこの世に生をうける。 
  先祖代々、赤穂武士の間に伝わっていた古式陰陽道を伝承する播磨陰陽師の末裔として、幼い頃より様々な霊体験を通して、一子相伝の秘術を習得する。古式陰陽道の伝承は、歴史的に「謎の集団」として知られる播磨陰陽師たちのもつ呪術・霊術から武術・戦略や武家の風習にいたるまでの多岐にわたるが、特に当家の伝承は、古くは物部の祭祀に起因する夢操り・夢伝え等の、独特な夢の世界に関する伝承と、その世界から現実に影響を与え変更すると伝わるノウハウを有する。

 


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 「みなさんこんにちは」 尾畑先生が会場の皆さんに挨拶をされました。

 

 「今日は 古事記 (ふることのふみ) の世界 のお話をさせていただきますが、その前に我々、播磨陰陽師について少しご説明させてください 」

 「陰陽師とは、物部一族の儀式等を受け継ぐ者達のことをいいますが、そもそも物部の一族とは古代縄文人のことを指しております。ですから私たちは、縄文時代から伝わる祭祀、霊術、武術といった系統を伝え残している一族であるのです」

 「陰陽道は、大別すると神道系と仏教系にわかれます。私ども播磨陰陽師は神道系に属しますが、その中でも特に “武家に属する陰陽師” に分類され、その特徴として、神道系祭祀、古武術、神仙道系霊術を三種の神器になぞらえて伝えている点が挙げられます」

 「我々播磨陰陽師は、古くは菅原道真公配下の陰陽師集団であったことから “菅原衆(すがわらしゅう)” と呼ばれていました。やがて “菅原衆 (かんばらしゅう) ” と呼ばれるようになり、その後 “神祓衆 (かんばらしゅう) ” と字を変え、織田信長公が 「カバラ衆」 と呼びました。そのカバラ衆の頭領が、岐阜の浅野の土地をもらったことから浅野を名乗るようになり、赤穂浪士で有名な浅野家の先祖となったことから、播磨陰陽師となったのです。
 我々播磨陰陽師には、先祖より伝わる古い形式の武術や赤穂浪士が使った武術や霊術などが今日に至るまで伝えられておりますが、 今回お話させていただく 古事記 (ふることのふみ) も 、これら古くから伝わる伝承のひとつなのであります」

 

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 「今回使用します 古事記 (ふることのふみ) のテキストは古事記 (こじき) そのものではありません。播磨陰陽師に伝わる伝承に基づいて、一部内容を変更しておりますことをご了承下さい。また、前回の講座 (2007/10/10) では、黄泉の国や禊払いの部分をやりましたので、今回の講座で国生みを行えば古事記のほぼ80%の部分を網羅することになるかと思います。そして残りは因幡の白兎や海幸彦、山幸彦、出雲の国譲りなどのサイドストーリーのみといった感じになります。

 

  また、できるだけ正しい古事記についてお話するつもりでおりますが、大手出版社等の書物は漢文を基にしている場合が多く内容に若干の差異がございますので、私が入手しうる最古の資料として今回も江戸時代の書物をテキストの基にしておりますことも併せて申し上げておきます」


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 満員の会場内に尾畑先生の声が響き亘ります。

 

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 「一般的に知られている古事記では初めに “天地の初め、高天の原に鎮座ませる神の御名は、天の御中主の神。つぎに高御産霊の神。つぎに、神産霊の神” という三柱の神の名が出てきますが、我々播磨陰陽師に伝わる古事記にはそれより前の話として、さらに別の三柱の神が存在しています。

 

  その三柱の神は “尾脆気の神 (もろきのかみ) ” “軽櫓気の神 (かろきのかみ) ” “虚櫓気の神 (うつろきのかみ) ” という名で呼ばれており、未だ宇宙が粒子の状態の時に彼らが天地の元として高天の原をつくったと我々播磨陰陽師には伝わっております。そうして上記にある、“天地の初め、高天の原に鎮座ませる神の御名は…” という一般的な古事記における天地の初めの冒頭、そして国生みへと続くのです」

 「国生みには磯凪の命 (いざなぎのみこと) と磯波の命 (いざなみのみこと) が出てきますが我々の伝承では、両神の名前に一般的な古事記で標記されている字とは違う漢字があてられています。これは例えば食事や睡眠は少々の不足でも生きてゆけても、呼吸だけは10秒と断つことができないことから、我々播磨陰陽師は “呼吸に神の力が宿り、その力でこの世に存在することができる” と考え、それが転じて磯凪の命と磯波の命を呼吸を司る神とあがめ、宇宙空間に存在する海の満ち引き=呼吸を表すためにこの漢字を当てはめたのだと伝わっております」

 「また、国生みの章には “その島に天降りまして、天の御柱を見立て、八尋殿を見立て給いき” という箇所がありますが、この “天の御柱を見立て” の “見立て” は神の行いを視覚化する、いわゆる  “イメージング” の手法を表現しています。またその後に続く “八尋殿を見立て給いき” の “八尋殿” はピラミッドのような八方向に広がる巨大な建造物であったと伝えられています。
  ちなみに、ここでは妹(=妻) である磯波の命が先に言葉を発したために国生みは失敗してしまいますが、その際生まれたのが蛭子の神、そしてこの神は戎神と関係があると考えられています。
  かつて西宮に霊的能力を持っていたであろうと考えられる戎三郎 (えびすさぶろう) という男が、海に流れ着いた鯨のようなものの死骸から発せられる祟りを取り除くために、戎帽子をかぶり釣竿を持って蛭子の神を祭ろうとしたのが七福神のひとり、戎神(いわゆる戎っさん)の原形であり、その祈りが毎年1月10日に行われる 十日戎 (とおかえびす) と呼ばれる祭 として現代に残っているというのが正しい伝承だと思います」

 「その後磯凪の命と磯波の命は、淡路島、四国、九州、そして本州とその各地を作って国生みはひと段落します。その後、高天の原の砂を ピッピッ っと投げて小さな島を作ったとありますが、不思議なことに北海道は小さな島だと思われていたのはなんだか奇妙な気もしますね」


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0803_obata_04.jpg 「では次に今回の講座で一番大切な “神々の誕生” の項目に入ります。ここに記されている神々の名前は、ほとんどが全国の神社に祭られている神々となっていることに注目してください。

  例えば大阪天満宮に祭られている12神の中に “かわなの神” という神がおられるのですが、通常の関連書物や資料ではその正体がわからず解明に苦労していたのですが、古事記を丹念に読み解いた結果、古事記の神々の誕生にある “川凪の命 (かわなぎのみこと) 、次に川波の命 (かわなみのみこと) を産みたまいて” と、その次に続く “この荒ぶる子の荒びをば、水の神・吉葛、土の神・川菜 (かわな) を持ちて鎮め奉れ” の一文にある ”川菜” が上記の神の正体だということが判明したのです。
  また、これとは別に丹生津姫の命という神も出てきますが、この神の正体は水銀なのであります。ですから水銀を掘り当てた土地の近くには、たいてい丹生津姫の命を祭った神社が存在することとなります。これと同じように金山彦の命という神もいますが、この神は鉱物を司る神なので丹生津姫の命と同じく鉱山付近で祭られているのです。
  このように、この章では一年を司る12ヶ月中、10ヶ月分の男女一対の神 (本来は12神いるべきなのですが、現状では10神のみしかその存在がわかりません。故に今後の研究の課題とさせていただきます) をはじめとして、やや危険だと思われる神々など八百万、八千万のうつくしき青人草を磯凪の命、磯波の命が生みたまいたと記されています」

 

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 「その後、磯波の命は火の神を生み、その時の火傷が元で命を落としてしまいますが、その最中に生んだ神の一人が豊受姫の命 (とようけひめのみこと) 、またの名を宇迦の御魂の命 (うがのみたまのみこと) といいます。この神は日本中に点在するお稲荷様に祭られていた本来の神で、後に神仏習合により弁天様と合体したとされております。

 

  ちなみに、古いお稲荷様では弁天様の頭の上におじいさんの顔をした蛇らしきものが乗っかっている像を見かけることがありますが、その頭の上に乗っている蛇らしきものが宇迦の御魂の命なのです。一説によると、お稲荷様で弁天様を祭るようにしたところ祟りが収まらず、慌てて宇迦の御魂の命を頭の上に乗せて一体化させたとの説もあるくらいですので覚えておくべき神の名前だといえるでしょう」

 

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 その後、講義終盤で磯凪の命による火の神の処刑を説明された尾畑先生は、最後に神々の名前や古事記原文の複雑さについてお話をされました。

 

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 「神々の名前は長く、古事記の文章は難しい。どちらも難解な代物だといえます。しかし、この難解さが脳を活性化させるのです。簡単な文章だと脳は単語を覚えるだけにしかエネルギーを使わず、あとは覚えた単語の組み合わせで内容を理解・再現しようとするのでそれ以上のものは望めません。しかし、難解な文章や文字の羅列だと脳はそれを細部まで理解するためにエネルギーを注ぎ、記憶しようと必死になります。実はその状態になって初めて前頭葉や手の平から振幅変調波 (各種リモコンや無線などに用いられる搬送波 ) という特殊な周波数の波長を放出するのですが、実はこの波長には情報を伝達する働きがあるのです。

 

 もっとも一言で情報伝達といっても色々ありますが、この場合の具体例としては人間の関節や筋肉に情報を送り動かすことができるというものです。人間の身体は神経によってのみ情報が伝わるとされていますが、実は意識が振幅変調波を通じて該当箇所に命令を集中し身体を動かしていることが往々にしてあり、神経伝達はその補助にしか過ぎないのです。そして、この振幅変調波は身体だけでなく夢(=脳波) にも影響を与えるので、今、集中して感じ考えたことがその日の夜の夢を書き換え、(例え翌朝のあなたが見た夢を覚えていなくとも) 明日のあなたの基本的な行動を変えてゆくのです。

  人間は考えたことを必ず夢としてみます。ですから古事記のような難解な文章を読み込むことによって脳をナチュラルに活性化させ人生そのものを変えてしまう、そのような効能も古事記には存在しますし、我々播磨陰陽師もその力を利用してきました。
  例えわずか数行でも構いません。祝詞を唱えるように、就寝前にでも声を出して古事記を読んでみてください。無理に覚えようとするのではなく、自然に読み込む。そうすることによって、古事記が皆さんに与えてくれる恩恵は計り知れないものとなるでしょう~という真意をお伝えし、今回の講座を締めくくらせていただきます。本日はありがとうございました」

 

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 ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。

 気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。

 スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 

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