上質人生大学

特別講座レポート

2007年10月
播磨陰陽師講座 / ~ 祝詞によく出る日本神話・古事記(ふることのふみ)の世界を味わう ~
尾畑 雁多 先生

 皆さん、こんにちわ。今回の上質人生大学公開講座レポートは、「 播磨陰陽師講座 / ~ 祝詞によく出る日本神話・古事記(ふることのふみ)の世界を味わう ~ 」 をご案内いたします。


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 去年より、ホロン上質人生大学公開講座におきまして幾つかの祝詞(のりと)をご紹介してまいりましたが、さらにもう一段、祝詞を深いレベルで理解し、活用する為には、「古事記(こじき:ふることのふみ)」に載っている神話を読む必要があるといわれております。 しかし、古事記は最も古い本であり、しかも難解な書のひとつとされていますのもまた事実です。


 そこで今回の播磨陰陽師セミナーでは、この「古事記」から重要な部分のみを抜粋して、その意味や、あらすじの解説などを行わせていただくこととなりました。それは古文としての古事記を理解すると同時に、神話としての「古事記」を味わうことにも繋がります。

 このチャンスに、美しい日本の神話にふれてみませんか?


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i-obata.jpg尾畑 雁多(おばた かりんど) 先生】 
  1960年、赤穂浪士の子孫としてこの世に生をうける。 
  先祖代々、赤穂武士の間に伝わっていた古式陰陽道を伝承する播磨陰陽師の末裔として、幼い頃より様々な霊体験を通して、一子相伝の秘術を習得する。古式陰陽道の伝承は、歴史的に「謎の集団」として知られる播磨陰陽師たちのもつ呪術・霊術から武術・戦略や武家の風習にいたるまでの多岐にわたるが、特に当家の伝承は、古くは物部の祭祀に起因する夢操り・夢伝え等の、独特な夢の世界に関する伝承と、その世界から現実に影響を与え変更すると伝わるノウハウを有する。

 

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 「みなさんこんにちは」 尾畑先生が会場の皆さんに挨拶をされました。


 「今日は 古事記(ふることのふみ)の世界 のお話をさせていただきますが、その前に我々、播磨陰陽師について少しご説明させてください 」

 「陰陽師とは、物部一族の儀式等を受け継ぐ者達のことをいいますが、そもそも物部の一族とは古代縄文人のことを指しております。ですから私たちは、縄文時代から伝わる祭祀、霊術、武術といった系統を伝え残している一族であるのです」

 「陰陽道は、大別すると神道系と仏教系にわかれます。私ども播磨陰陽師は神道系に属しますが、その中でも特に “武家に属する陰陽師” に分類され、その特徴として、神道系祭祀、古武術、神仙道系霊術を三種の神器になぞらえて伝えている点が挙げられます」


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 「我々播磨陰陽師は、古くは菅原道真公配下の陰陽師集団であったことから “菅原衆(すがわらしゅう)” と呼ばれていました。やがて “菅原衆(かんばらしゅう)” と呼ばれるようになり、その後 “神祓衆(かんばらしゅう)” と字を変え、織田信長公が 「カバラ衆」 と呼びました。そのカバラ衆の頭領が、岐阜の浅野の土地をもらったことから浅野を名乗るようになり、赤穂浪士で有名な浅野家の先祖となったことから、播磨陰陽師となったのです。


  我々播磨陰陽師には、先祖より伝わる古い形式の武術や赤穂浪士が使った武術や霊術などが今日に至るまで伝えられておりますが、 今回お話させていただく 古事記(ふることのふみ)も 、これら古くから伝わる伝承のひとつなのであります」


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 「では、これから 古事記の世界 についてのお話を始めたいと思います。(事前に会場にお配りした資料を指しながら)今回使用します 古事記(ふることのふみ)のテキストは古事記(こじき)そのものではありません。播磨陰陽師に伝わる伝承に基づいて、一部内容を変更しておりますことをご了承下さい。


  また、できるだけ正しい古事記についてお話するつもりでおりますが、大手出版社等の書物は漢文を基にしている場合が多く内容に若干の差異がございますので、私が入手しうる最古の資料として江戸時代の書物を今回のテキストの基にしておりますことも併せて申し上げておきます」

 満員の会場内に尾畑先生の声が響き亘ります。

 「播磨陰陽師の伝承では 「古事記を日本書紀で補い、それを古語捨遺で補足し、先代旧事本紀と上記のなどの知られている古文書をもって、おのおのを補う方法で正しい神話を復活させ、再構成せよ」 とされ、また同じく伝承として口伝はよくとも文章に書き写して人に伝えるのは禁止すべしとなっておりました。しかし今回、あえて後世に残すことと考え、皆様にお話する機会と致しました。(尚、今回配布させて頂きましたテキストにつきましては、諸般の事情によりWeb上での扱いを非公開とさせていただきます故、ご了承いただきますようお願い申し上げます)
  
以下、古事記における各章ごとにご説明を進めて参りたいと思います」

 尾畑先生がこのように説明された後、いよいよ古事記についてのお話が始まるとあって、会場の雰囲気は一気に集中感を増したかのようでした。


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  天地(あまつち)のはじめ

 「この章では 「天地のはじめ、高天の原にあれませる神の御名は、天御中主神(あめの みなかぬしの かみ)」 とありますが、神の御名とは自分の中に内するものとしての機能を表し、天御中主神とは天の中心にいる主を意味しております」


  黄泉津国への旅

 「黄泉津国とは神が死んで生き返る場所とされ、おそらくは出雲方面かと思われます。ここに、イザナギの命(みこと)が 「妹(いも)・イザナミの命を会い見ん」 と黄泉の国に追い行きますが、変わり果てた姿のイザナミの命に驚き逃げ帰る際、後を追ってきた醜男醜女(しこお・しこめ)に投げつけたのが エビカズラ(やまぶどう)の実やタカムナ(タケノコの総称)であり、桃の実であります。
  
で、その桃の実に対し 「ナレ、アレを助けしがごとく…葦原の中津国に、あらゆる美しき青人草の…苦しき瀬に落ちて、憂いを悩む時、これを助くべしと詔りたまいて…桃の実に、大神津実命(おおかむつ みの みこと)の名を賜う」 と示し、その大神津実命が桃の一番優れたものとして後に名を変え 「桃太郎」 として結実します。
 また、 「怪しきか、も…しし、まきつるか、も…いちはや、禍(まが)らい人と、雄たけびを振りたまわれば」 の一文における 「雄たけび」 とは、神が 「おおおぉ~」 と叫びながら虹に乗り渡ってくるイメージを想像されれば結構かと思います。

 さらにこの章では 黄泉ツ比良坂との記述が出てきますが、これについては場所を指すものではないと考えております」


  禊ぎ祓いと祓戸の大神達の出現

 「ここでの 「阿波の戸」 とは鳴門周辺を指すと思われます。また別の一文、「筑紫の日向の橘の小戸のアワギ原」 での “橘” は岬、“小戸” は関門海峡と考えられるので、この一文が指す場所は門司近辺ではないかと推測されます。

 この章では、先代旧事本紀での上記(うわつふみ)に出る古事記以上(6つほど)の神を補足する意味もあり、とにかく目で見て読んで、日本語の最も古い部分~神の名を読み唱えることで脳を活性化させる働きを求めている、と考えるべきであります。この場合気をつけることは只一つ、「声を出して読む」 ということだけです。
 暗記も不要で、棒読みでも構いません。とにかくイメージを大切とし、叶うなら朝方に低い声で事故催眠をかけるような感じで行ってください。すると、ほどなくして毎夜の夢が変わってくるはずです。

 具体的には “夢がカラーになる” “音が聞こえるようになる” などの変化が一般的ですが、これは脳に血液が行き届き、活性化した結果として記憶が蘇るなどの前兆として考えられ、時をおかずして心の府が軽くなってくるものと思われます。もちろん、よい言葉を唱えているので、その波及効果により現実も良い方向へと変化してゆきます」


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  天照大御神の誕生

 「この章には、自分に内在する機能~世の中をあまねく照らす生命を育む力を引き出す作用があります」


  天照大御神の天の岩屋戸こもり

 「この章は10月の季を表現しています。また、「天ツ祝詞の太祝事」 における “太” は褒め称えを意味しております」


  スサノオの命の神逐い

 「この章にある 「その諸々の禍ツ事・罪や穢れを祓いたまい清めたまえて、神逐(かむらや)らいに逐(やら)らいき」 は、大祓い祝詞の言葉の元となった大切な一節であります」


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 ここまで話された時点で講義開始より2時間近く経っていたのですが、時間の長さを感じさせない濃密な内容に参加者も大満足の様子です。

 そしてテキストでの解説をほぼ終えられた尾畑先生は、追って次のように話されました。

 「最後に、播磨を含む陰陽師全般に伝わっている古事記において欠落しているところを申し上げたいと思います。


 播磨の国の古き伝えに曰く、「天地の元始め、高天の原、未だあられませぬ頃、天の内に大いなる虚ろあり。その虚ろにはじめてあれませし神の御名は、ヲ・モロキの神、次にカロキの神、次にウツロキの神。この三柱の神、触れおうて、天地の元となり、やがて高天の原、あれしませる。これをもちて、古事記(ふることのふみ)の上に加えるを、秘伝とす」 と。

 極論を言ってしまえば、物語がどのように構築され、そこで何があったのかなどは二の次であり、本当に重要なことは “神々の名前を表し読むという行為そのものが古事記に触れ合うにおいてなにより大切なことである” という真意をお伝えし、今回の講座を締めくくらせていただきます。本日はありがとうございました」


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 ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。

 気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。

 スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。


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