上質人生大学

特別講座レポート

2007年7月
ファミリーコンステレーション~無意識に働く「存在」の力~
畦 昌彦 先生


 皆さん、こんにちわ。今回の PBI上質人生大学公開講座レポートは、昨今急速に注目を集めつつあるセラピーのひとつであり、また上質人生大学講座として多数の リクエストのお声を頂いた畦先生の  「 ファミリーコンステレーション~無意識に働く「存在」の力~ 」 をご案内いたします。

 ファミリーコンステレーションとは、ドイツ人セラピストバート・ヘリンガーによって始められた家族システムそのものを扱うセラピーです。 
  このセラピーでは、クライアント(依頼者)の問題をその人だけの問題として見るのではなく、クライアントの家族までをも一つのシステムとしてとらえる体系的な家族療法で、具体的には 「病気・精神疾患・人間関係のトラブルなど個人に起きる様々な問題の根底には家族全体、または家系のシステムのなかに生じた問題=『排除された存在』がある」 と考えるのです。

 例えば、ある家庭の子供が喘息などの発作を持っており、両親が喧嘩を始めると決まってその発作が起こるケースがあるとします。子供に発作が起これば、当然両親はその子に付きっ切りになります。
  この場合、ファミリーコンステレーション では原因を本人の問題としてではなく、家族全体の関係性で捉えます。つまり、この発作を家族という一つの身体に現れたひとつの症状とみなし、その局所的な症状を治すのではなく、身体全体に対して働きかけてゆくのです。

 実際のワークでは、クライアントとその家族関係者にあたる代理者を同じフィールドに並べ、そこでおこる各々の現象から人間関係のもつれを読み取ります。そして、万一そのもつれが親から子へと代々引き継がれているような場合には、世代を超えた大きな枠組みとして各々の魂が関わるもつれを解きほぐし、クライアントが精神的症状、病気、家系的に受け継がれる問題などを乗り越えて生きることができるように、と手助けをするのです

 私達は、この世に生まれた瞬間から家族に所属します。排除された存在はワークの中でメンバーとしての本来の位置に戻され、所属する権利を回復します。そのことによって混乱した家族システムは秩序ある家族システムへと変換されていきます。そのことによって個人の抱えているさまざまな問題が解消されたり、生活環境が劇的に変化してしまうということが起こり得るのです。

 さらにこの方法は家族だけではなくさまざまな組織にも応用することができるので、企業経営におけるビジネスコンステレーションという形での活用も試みられております。
 いまや心理療法を超えて、企業経営、組織管理という分野をもその対象としながら進化し続けている大注目のアプローチ法といえるでしょう。


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畦 昌彦(うね まさひこ) 先生

 1961年大阪生まれ。18歳で僧侶の道を志し、一般の家庭より出家。仏教大学を卒業後、浄土宗僧侶となる。26歳で滋賀県甲賀市法蔵院に住職し現在に至る。住職就任後、さまざまな人間の苦悩、問題に向き合う必要を感じ、修験道、運命学、カウンセリング、さまざまなセラピーを学び、これらを通して多くの人々にかかわる。 
  現在は浄土宗大本山清浄華院の法務部長として本山の運営にも
かかわり、平成17年より同本山において、浄土宗の僧侶を対象にNLP・ファミリーコンステレーションを中心にしたカウンセリングの研修会を開催している。

 

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 「みなさん、はじめまして。私が 畦と申します。宜しくお願い致します 」  畦先生が会場の参加者に挨拶をされました。

 「みなさんは ファミリーコンステレーションをご存知でしょうか。このセラピーは頭で理解しようとしても、そのメカニズムはなかなか把握しきれない、やや特殊な性質のものですが、現在のドイツでは非常にオーソドックスなセラピーとして認知されています。
  創始者である ドイツ人セラピスト:バート・ヘリンガーは宣教師からセラピストに転向された人物で、カウンセリングを受けても一定水準以降はクライアントの改善が図れない多数のケースから 「問題は個人だけではなく、クライアントの所属する環境(先祖まで含む繋がり=家族=システム)に帰依するのではないか」 と考え、その気付きによって家族システムそのものを扱うセラピーを考案したといわれているものです」

 「例えば先日、実際に行ったファミリーコンステレーションでの話ですが、ある女性が結婚しようとしたにも関わらず、何故か直前で相手を振ってしまい不本意ながら結婚できなかった、というケースがありました。 実は彼女にはそれ以前、結婚を前提として付き合っていた男性がいたのですが、彼は事故でなくなってしまったという事実があったのです。
  もちろんそれはもう随分昔の話で、彼女の中では既に消化し終わっているハズでしたが、これをシステムとしてみた場合、彼女は未だ、最初のパートナーとなるはずだった男性と繋がっていたのです。ですから、その男性と繋がり続けている限り、新しいパートナーとは繋がることはできなかった、という訳なのです。
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つまり、自分自身が知っている、亡くなった個人、もしくは行方不明になった誰か、あるいは自分のおじいさんやおばあさんが持っていた悲しみや苦しみ、恐れといったものと同一化、もしくは一体化してしまったがゆえに、その感情の全てを自分のものにしてしまっているのです。
  その結果、何故だかわからないが、フト死にたいような気になったり、あるいはどうしても抑えられない衝動に駆られ、理屈ではしてはいけないとわかっているような行動をどうしてもやめられない、といった現象が起きてしまうのです。こういった症状の場合、いくら心理療法を受けてもなかなか改善が見込めないといったケースが少なくありません。
  
これらの症状は、例えれば化膿した怪我のようなもの、とでも言えば良いでしょうか。つまり、化膿した怪我は膿を出し切れれば回復に向かうのですが、怪我の深い箇所に芯のようなものが残ってしまった場合、一見、直ったかに見えた外観も、少し時間が立つと同じ箇所に同じ症状が出てしまいますよね。実は、これと同じようなことが人間の心の中にも起きている、といえばお分かりいただけるでしょうか」


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 「ファミリーコンステレーションを行った場合、セッションを受けた本人(クライアント)が気付き、生まれ変わることはもちろんのことですが、直接セッションを受けていないはずのクライアントに関連する人々(家族やパートナー、所属している組織など)にも同時に変化が起きてしまうことを、私は度々目撃しております。
  
これはシステムの構造、言い換えれば大地そのものが揺れ動き、その上に立つ建造物全てに影響が及ぶような状況を意味します。つまり、人は一人で生きているわけではない、というコトであり、目に見える表面的な現象はもとより、目に見えないような深い箇所でこそ人は他人と繋がっている、という普遍的な事実をシステムは語っているのです。
  
もっとも、前もって心の準備ができていなければ、このような変化が起きた際に今まで築き上げてきた “こうあるべきだ” “こうあらねばならない” といったその人なりの心理的な概念が使いにくくなってくる可能性が出てきます。人間の基本的心理として “(現状から)変化したくない” “手放したくない” といった心の傾向がありますので、こういった変化に対してどうしても抵抗したくなるのですが、すでに土台が変わってしまっているので止めようがなく、混乱が起こり得るケースも少なくありません」

 

0707_une_04.jpg 「このような自分自身に起こった変化を “これはきっと、幼児期のあの体験が元になっているに違いない” と考えるのはごく自然な反応ですが、こういった推測はことごとく外れてしまいます。この場合、問題の根底にあるものは、本人にはわからない類のものであるケースがほとんどですし、もちろんファシリテーター (セラピーを仕切る役目)である、私どもにも一切わかり得ないことだもといえるのです 」

 

 「セッションとしてのファミリーコンステレーションで起こる全てのことは予測不可能のことであり、その最中に紡ぎ出される現象は、常に変化していきます。赤の他人であり、クライアントの事情をまったく知り得ない代理人がフィールドで感じる感覚、感情こそが、クライアントが抱える深い心の問題を解決へと導いてくれる鍵なのです。
  
不思議な話ですが、これが真実であります」

 上記のようにファミリーコンステレーションについての説明をされた畦先生は、以降、講座内で希望者を募り、実際のセッションを行うに至りました。


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ここで、ファミリーコンステレーションをご理解いただく上でセラピーの流れを 簡潔に述べさせていただきます。

① クライアント(相談者)がご自身の問題に沿った代理人を参加者の中から直接指名する

② 代理人として指名された第 3者は クライアントが指示する場所に移動する

③ ファシリテーター(セラピーを仕切る役目)は代理人に、今立っている場所で何を感じているかを聞き出し、それを元にクライアントに感想を訊ねる。
 さらにファシリテーターはクライアントの心の変化に応じて代理人同士の立ち位置を調整し、それぞれの代理人が新しい場所に立つことで生じた感覚を聞きだすことによってクライアントがさらに何を感じているかを訊ねる

④ クライアントが問題解決に必要な何かに気付くまで③を繰り返す

 

0707_une_05.jpg 以上が ファミリーコンステレーションの大まかな流れになるのですが、不思議に思えることは全ての代理人はクライアントのプライベートな事柄を何一つ知らないにもかかわらず、あたかも精密機械における歯車のように、それぞれが呼応して自然と有機的に動き出してしまうという点です。

 

  もっとも、こういった些細な情報を丹念に拾い集めるには、深い洞察力と高い技術が求められます。

 こういった点についての心構えとして畦先生は、「私たちファシリテーターは、このような個人のデリケートな情報を扱うことに関して細心の注意を払っておられますし、また、クライアントが信頼するに足るファシリテーターでなければならないという、意識の高さは常に持ち合わせるように心がけております」 と、述べられていました。


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今回のレポートでは、実際のセッションで発せられた、クライアントや代理人の感想やセリフ、そしてフィールドでの代理人とファシリテーターのやり取りの一端をご紹介致しますので、そこで生み出されたライブ感を少しでもお感じいただければ幸いかと存じます。

 

0707_une_06.jpg祖父役の代理人に立ち位置の感想を求めるファシリテーター。

 

ファシリテーター : 「この立ち位置はどうですか」

祖父役の代理人 : 「前にひかれる感じがします」

ファシリテーター  「ではここではどうですか」

祖父役の代理人  「今度は後ろにひかれる気がします」

ファシリテーター  「ではこれはどうですか。いいですか、悪いですか」

祖父役の代理人  「何も感じません」

ファシリテーター  「ではここではどうでしょう」

祖父役の代理人  「すごく親近感を感じます。」

 その他の代理人の反応を見ながらファシリテーターはセッションを進めて行きます。そしてセッションも終盤に差し掛かったあるタイミングで、父親役の代理人に対し、本人役の代理人が話すセリフをファシリテーターは指示をします。

本人役の代理人  「お父さん、私はまたあなたがどこかに行ってしまうのが心配です」 ファシリテーターがお父さん役の代理人に向かい 「合ってますか?」 「合ってます」

本人役の代理人  「お父さん、あなたが戻ってきてくれて嬉しいです。あなたが戻ってきてくれたので暮らしていけます」 再度、お父さん役の代理人に向かって 「言われてどうですか?」 「合ってます」

 ここで、今回のセリフのやり取りとは関係なく、指定された位置に立っていただけの祖父役の代理人が急に 「(自身の腕を指し)何か鳥肌が立ってきました」 と、感想を述べました。
  するとファシリテーターは、代理人が不意に発したその一言を元に、”過去に存在していたであろう家族システムの関係性” を、更に深いレベルで解明すべく、各代理人にアプローチを試みて行くのです。

 

0707_une_07.jpg この他にも、その時々の状況に応じて各代理人が発する 「腹が立ちました」 「違和感はありません」 といった様々な感想を、ファシリテーターはその都度丹念に拾い集め、セッションを問題の解決点へと粘り強く導いて行くのです。

 

 もちろん、問題解決の最終点までセッションを突き詰めることもあれば、総合的に考えて 「ここで一応終わっておいた方が良さそうだ」 と判断する場合もあり、セッションの終わり方はケース・バイ・ケースであります。しかしその終着点には必ず、クライアント自身が内面で感じる “気付き” が内包されており、その “気付き” が拠点となって渾沌とした家族システムに一筋の希望の光が見出され、クライアントは変化してゆけるのです。 


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最後に畦の先生はこのようにおっしゃいました。

 「 ファミリーコンステレーションでは、クライアントから事前に情報をもらうことはありませんが、赤の他人であるはずの代理人がもたらしてくれる ”何か“ がきっかけとなり色々なことがわかります。この不思議な感覚は、実際に代理人を体験してこそ理解できる類のものだと思います。
 システムの中では、常に家族のメンバーは平等に席を与えられています。しかし、亡くなった子供がいた場合、往々にしてその席には次の子供が座ろうとし始めます。この現象を我々は同一化と呼んでおり、理屈や他のセラピーではどうにもならない現象として捕らえております。
  この場合の解決法としては欠落した家族をシステム上にある本来の席に戻してあげる、といった作業が大変重要であります。そういった意味で、本人(クライアント)が家族に受け入れられる、もしくは家族を受け入れることができたなら、必ず何かが変化し始めますし、その一点にこそ問題解決の糸口が存在するのです」

 「ポイントは順序のもつれです。システムとしての順序が持つエネルギーの流れの良し悪しが、まずは基本となります。命のエネルギーの流れが滞ると、そこに悪い感覚が発生し、様々な問題を生み出していきます。代理人がフト漏らす何気ない言葉にこそ、システムのもつれを生み出した原因が隠されている場合が多いのです」

 「決して忘れないでください。自身が所属する家族システムのどこに己のポジションがあるのか、そして自分自身がそのシステムからどのような影響を受けているのか、ということを。
 こういった考え方は普段、なかなか意識することのないであろう概念ではありますが、それだけに自分自身ではどうしても超えられえない問題の根本がそのシステムの中に隠されているかもしれないのです」


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 ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。

 気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。

 スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 それでは次回のホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。 どうぞご期待下さい。


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