上質人生大学

特別講座レポート

2007年6月
播磨陰陽師講座 / ~幽魂安鎮秘事 ~
尾畑 雁多 先生


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 皆さん、こんにちわ。今回の上質人生大学公開講座レポートは、「 播磨陰陽師講座 / ~幽魂安鎮秘事 ~ 」 をご案内いたします。


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 今回の上質人生講座は、播磨陰陽師が使う万能の祝詞 「幽魂安鎮秘事(ゆうこんあんちんひじ)」 がテーマです。

 前回の講座(2007年1月上質人生講座)にて取り上げました大祓祝詞は、修行用、または祓い清めに最大の力を発揮する祝詞でしたが、今回は用途そのものの異なる祝詞をご紹介致します。

 この幽魂安鎮秘事は、先祖供養・幽魂の祓いと祭り等に、万能の力を発揮するものとして、播磨陰陽師に伝わっているものです。その力は、ただ書かれたものを読むだけで効力を発揮するとされていますが、今回は、この祝詞の意味や唱え方を含めての熱気溢れる講座となりました。

 播磨陰陽道では、文書を読むことより口伝を重要視しています。それは、口伝によってのみ、先祖や先人達と魂のつながりを得られるとされているからです。その魂のつながりを使って、様々な術を発動させ、霊的な力を発揮させることに意味がある、と尾畑先生はおっしゃいます。

 今回の講座では、播磨陰陽道における魂や霊の基本的な考え方、対処の方法などを含めて、現存する播磨陰陽師である尾畑先生に幽魂安鎮秘事を伝授していただきました。


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尾畑 雁多(おばた かりんど) 先生】 
  1960年、赤穂浪士の子孫としてこの世に生をうける。 
  先祖代々、赤穂武士の間に伝わっていた古式陰陽道を伝承する播磨陰陽師の末裔として、幼い頃より様々な霊体験を通して、一子相伝の秘術を習得する。古式陰陽道の伝承は、歴史的に「謎の集団」として知られる播磨陰陽師たちのもつ呪術・霊術から武術・戦略や武家の風習にいたるまでの多岐にわたるが、特に当家の伝承は、古くは物部の祭祀に起因する夢操り・夢伝え等の、独特な夢の世界に関する伝承と、その世界から現実に影響を与え変更すると伝わるノウハウを有する。



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0706_obata_01.jpg 「みなさんこんにちは」 尾畑先生が会場の皆さんに挨拶をされました。


 「今日は 幽魂安鎮秘事の祝詞のお話をさせていただきますが、その前に我々、播磨陰陽師について少しご説明させてください 」

 「陰陽師とは、物部一族の儀式等を受け継ぐ者達のことをいいますが、そもそも物部の一族とは古代縄文人のことを指しております。ですから私たちは、縄文時代から伝わる祭祀、霊術、武術といった系統を伝え残している一族であるのです」

 「陰陽道は、大別すると神道系と仏教系にわかれます。私ども播磨陰陽師は神道系に属しますが、その中でも特に “武家に属する陰陽師” に分類され、その特徴として、神道系祭祀、古武術、神仙道系霊術を三種の神器になぞらえて伝えている点が挙げられます」

 「我々播磨陰陽師は、古くは菅原道真公配下の陰陽師集団であったことから “菅原衆(すがわらしゅう)” と呼ばれていました。やがて “菅原衆(かんばらしゅう)” と呼ばれるようになり、その後 “神祓衆(かんばらしゅう)” と字を変え、織田信長公が 「カバラ衆」 と呼びました。そのカバラ衆の頭領が、岐阜の浅野の土地をもらったことから浅野を名乗るようになり、赤穂浪士で有名な浅野家の先祖となったことから、播磨陰陽師となったのです。
 我々播磨陰陽師には、先祖より伝わる古い形式の武術や赤穂浪士が使った武術や霊術などが今日に至るまで伝えられておりますが、 今回お話させていただく 幽魂安鎮秘事は、これら古くから伝わる霊術のひとつであります 」

 

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0706_obata_02.jpg 「では、これから 幽魂安鎮秘事についてのお話を始めたいと思います。幽魂安鎮秘事とは祝詞のひとつでありますが、神道系の祝詞ではなく神仙道系の物ですから、秘事、秘詞、秘辞などと書かれることの多い祝詞といえます。また、この祝詞は通常の祝詞と違い、見るだけで霊力があるといわれ、口伝 部分の多い謎めいた術のひとつでもあります。


  例えば、先祖霊や動物霊、霊獣といった種類のものに効果的で、さらに過去に死んだ身内に夢で会いたいときなどにも使われることがあります。また商売を扱う方々の間には、 「みーさん」 と呼ばれる信仰が根強くありますが、これは幽魂安鎮秘事を使って蛇の霊を奉ることで商売繁盛を願う儀式を行っていた名残でもあります 」

 「上記のような使用例もありますが、そもそも 幽魂安鎮秘事 とは、先祖霊の供養が主な目的です。しかも、幽魂安鎮秘事の使用には特別な修行はいらず、ただ唱えるだけである程度の効力を得ることができる、という点が重要です。もちろん、これについて修行すれば、さらに大きな効力を得ることも可能であります。
  
以上の理由からこの幽魂安鎮秘事は先祖霊に対する供養をはじめ、あらゆる小さな祟りから、自分自身の心と運命を守ることに使われる種類の祝詞といえるでしょう 」


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0706_obata_norito.jpg ここまで 幽魂安鎮秘事についての概要を説明された尾畑先生は、続いてその祝詞に記された言葉のひとつひとつの意味について説明を始められました。(サムネイルをクリックすると、原文の拡大図がご覧になれます)


 「では、お手元に配らせていただいた 幽魂安鎮秘事の紙をご覧ください。この祝詞の中のこの部分(①)に皇紀暦で本日の日付と名前を朱色で書き込んでください。こうすることで、はじめてこの祝詞は効力を発揮し始めるのです。この署名は幽魂安鎮秘事との、いわば契約といえる行為だとお考えください。
  で、例えば契約を交わした幽魂安鎮秘事を枕の下にいれてみてください。死んだ身内を夢の中に呼び出すことなどができるようになります。これは幽魂安鎮秘事を潜在意識に対してセッティングし、記憶を引っ張り出してくる、ということに他なりません。
  同時に、祝詞を上げることとはある種の波動調整を行っていることでもありますので、今回の幽魂安鎮秘事は祝詞をあげ、お祓いの力を叩き込みながら書かれていることに是非ご注目ください 」


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 「次に、 幽魂安鎮秘事の読み方と意味の解説を致します。 始めの “天の息、地の息” は “あめのいき つちのおき” と読む枕詞(まくらことば)であり、“息” の字は、古くは “をき” と発音していました。意味は 『天津神の息と国津神の息』 という意味です 。続く “天の比礼、地の比礼” は “あまのひれ、つちのひれ” と読み、『 天津神の息と国津神の息が、天と地に動きを齎(せい)して、この世界を構築して行く様子 』  を現しています 」


 「 “天の陽結び、地の陰結び” ですが、これは “あめのおむすび、つちのめむすび” と発音します。両手を結び間溜めることを古くは「おむすび」と言い、天の陽結びは、天があたかも両手を結ぶかのように力を込めて、様々な現象がこの世界に発生することを意味し、地の陰結びは、地にあって結ぶ力を意味しています。
  
つまりここまでで、「天の息と地の息が天と地を動かして後、天に結ぶものと地に結ぶものを別けた」 となり、これすなわち “天地開闢(てんちかいへき)” を指しているのです」


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 このように、 幽魂安鎮秘事についての読解を進められた尾畑先生は、今回のポイントとなる箇所の説明を始められました。


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 「ここにある “大き小さき産魂玉神の掟を、ちゆりほゆり守り沙汰し” という箇所ですが、ここがこの幽魂安鎮秘事の最大のポイントであり、秘伝であります。この産魂の神の掟がある限り、どんなことがあってもこの祝詞は効力を発揮し続けると明記されているのです(但し、この効力はこの祝詞を直接伝えられた人にしか効力を発揮しません)。


  そこで、ここに記されている “産魂玉神の掟” についてですが、これは伝承で 「たまゆらの国に 『産魂玉神の掟』 という、厳しき掟あり。幽界に属するもの(霊)は、必ずそれに従う」 と伝えられてきました。

  ちなみに、ここで言う幽界に属する霊とは

魂(こん) ・ 魄(はく) ・ 霊(れい) ・ 精(せい) ・ 神(かむ) ・ 鬼(ぬら~蘇我入鹿(そがのいるか)の祟り) ・ 妖(あやかし) ・ 奇(くしき) ・ 怪(もののけ~物部の恐ろしい祟り) ・ 異(いなり~不思議な状態) ・ 氣(をき) ・ 心(おもひ) ・ 祈(のり) ・ 咒(しゅ) ・ 夢(むめ) ・ 幻(まぼろし) ・ 数(かぞ) ・ 詞(いろは) ・ 音(おとど) ・ 光(ひかり) ・ 熱(ほのけ) ・ 虚(うつろ~宇宙空間) ・ 主(ぬし~潜在意識の集合体) ・ 命(みこと) ・ 幽(ゆら) ・ 祖(みを~先祖霊)

といった種類を指しております」


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 「講座当初に幽魂安鎮秘事とは 「見るだけで効力が発揮される祝詞」 と申し上げましたが、残念ながら、厳密に言うと只この文章を読み、霊の種類を知っただけでは幽魂安鎮秘事の効力は発揮されないようになっています。これは、口伝の特徴である “本当に重要なことは文字に記さず” に基づき、肝心なことには触れていないからです。この場合の重要なこと=鍵は “契約” という概念です。一般社会における契約同様、幽魂安鎮秘事も直接契約でなければ実行に移されることはありません。ですから、講座当初に 「口伝の多い謎めいたもの」 「署名による契約を」 と申し上げたのです」


 「ここでの掟とは “例え祟り成す魂とても、人が神として一旦奉るならば、必ず人を守らねばならぬ掟あり” のことであり、簡潔に申し上げれば 「この掟が有効である限り、例えどんな霊的なもの(例えば鬼、キツネや狸の類、祟り成す死霊など)であっても、必ず人間を守ることが義務付けられている、ということなのです。もちろん、契約更新の意として、きちんとした儀式をし、それらを人が奉り、更に定期的に奉り続けることが必須となりますが。
  
そして、この掟を 「ちゆりほゆり守り沙汰し」 と表現しているのですが、これは古語で 「必ず守ってあげてください」 と念押しでお願いしているということです」


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 この後、講座予定時間を目一杯使い、難解な 幽魂安鎮秘事を最後の一語まで説明し終えた尾畑先生。最後に会場一杯に集まられた参加者の皆さんに向かって次のように述べられました。


 「今回の2時間は皆さんから貴重なお時間を頂き、私からも自分の持つ時間をお渡しした、言わば “命の交換” の場でありました。私たちは誰しも否応なしに死に向かっております。人の死はたった4種類しかありません。ひとつは病。もうひとつは事故で死ぬ。そして人に殺される(自殺も含む)、自分で死ぬ(ここまで生きたと納得して死ぬ)の4つです。
  自分自身が納得する死を迎えるには自分自身の人生を真剣に生きるしかありません。文字通りの “命の交換” です。故に私は常日頃の祝詞をあげる際はいつも真剣に取り組んでおります。祝詞をあげるということは先程も申し上げましたがある種の波動調整であり、荒い呼吸を深呼吸に近づける働きがあります。もちろん実際に声にせずとも頭の中であげるだけでも呼吸は落ち着きます。特にイラッとしたときには効果覿面(こうかてきめん)です(笑)」

 「是非皆さんも、気持ちが落ち着かないときや沈んだときには祝詞をあげてみてください。そして普段の生活に祝詞や幽魂安鎮秘事を取り入れ、更なる良い人生を送る手助けとされてみてはいかがでしょうか」


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 ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。

 気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。

 スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 それでは次回のホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。 どうぞご期待下さい。


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