上質人生大学

特別講座レポート

2007年1月
ベリーダンスと武アート~日本的身体操作からベリーダンスを解析する~
海老原 美代子 先生 / 河野 智聖 先生

 皆さん、こんにちわ。今回の 上質人生大学公開講座レポートは、「 ベリーダンスと武アート~日本的身体操作からベリーダンスを解析する~ 」 をご案内いたします。

happa.jpg “ベリーダンス” … みなさんはベリーダンスをご存知でしょうか。ベリーダンスとは、 7世紀以前より地中海沿岸一帯、中近東・北アフリカ地域の人々の間に受け継がれてきた “肩や腰を震わせて踊る女性舞踊” を発祥として19世紀の西洋世界において 「ベリーダンス」 と名付けられたのち、世界各地で発展したダンス形式のことをいいます。

 その後、ベリーダンスは 1970年代を迎えてエンターテイメントとして発展する傍ら、全く別の視点からアメリカ女性の間で再評価・再発見されることとなりました。それはベリーダンスを踊ることで、女性が自らの女性性を愛し、謳歌、表現することができたのと同時に、ベリーダンスが持つ、自分の身体で踊る喜びと心の深い場所-魂-とつながる強力な “ヒーリング力” が時代の要求と相まったからで、その結果、急速にアメリカ全土にベリーダンスの学校やショーが広がり、新たな全盛期が始まったのです。

 さらに 1980年代に入ると、ベリーダンスはアメリカ大陸(アメリカ合衆国・カナダ・ブラジル)、アジア(日本)、ヨーロッパ諸国へと広まりを見せはじめ、とりわけドイツでは町や村々にまでベリーダンススタジオが作られるほどの勢いで普及したのです。このように、 元々イスラム圏の舞踊として知られたベリーダンスは、20世紀後半にはイスラム圏以外の国々でも広く一般的に親しまれる存在となりました。(以上、ベリーダンスの解説について海老原先生HPより引用)

happa.jpg このように幾多の人を経て世界各地に普及したベリーダンスですが、意外なことにそのダンス動作における身体の使い方には日本人的思想との共通項が複数認められ、そこから新たな身体活用に向けてのヒントが得られることも多いのです。

  そういった点を踏まえまして今回の上質人生大学講座では、ベリーダンスの第一人者として名高い海老原美代子先生と、武道アーティストの河野智聖先生による対談を企画させていただきました。超一流のベリーダンスに加え、武道的視点からの対話によって人間の身体システムの新しい側面を知ることのできた本講座レポートをどうぞご覧下さい。

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海老原 美代子(えびはら みよこ) 先生
  
1979年、アメリカ在住中にベリーダンスと出会いアラブ人舞踊家に師事。1984年に帰国後、日本におけるベリーダンスのパイオニアとして、劇場以外でも名古屋博、横浜博、大阪花博等にて公演するほか、ベリーダンスの本場であるエジプト・トルコ・チュニジア・モロッコ等の大使館からの評価も高く、大使館主催による公演も多数経験している。


 

 

 



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河野 智聖(こうの ちせい) 先生

  武術と整体の融合から身を整える武術「やわらか心道」、快感覚で潜在能力を開発する「快気法」、皮膚にやさしく触れるだけで姿勢が変わる「ニコニコタッチセラピー」などを創始し、心と体の講座を東京・大阪・名古屋で開催している。現在、伊豆伊東に在住。

 

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0701_ebihara_01.jpg 講座開始時間を迎えた会場では落とされた照明に混じって音楽が鳴り響き、やがて神秘的な衣装をまとった海老原先生が現れました。瞬間、会場の空気が変わり、舞台は海老原先生の放つ強烈なオーラに包まれます。その官能的な指の動き、情熱的な足の運びの一挙一動に参加者たる観衆は海老原先生のダンスそのものに飲み込まれてしまいました。
 次いで海老原先生は身にまといしベールを脱ぎ捨てると、大きな刀を取り出し、身にあてがいながらダイナミックなダンスを披露されました。再度その一挙一動に目を奪われる観衆…。息つく間もなく時間は流れ、海老原先生の圧倒的なパフォーマンスによるベリーダンスは瞬く間に終了したのでした。

 やがて会場に灯りが戻り、舞台に並べられた 2 つの椅子に対談用の服に着替えられた海老原先生と河野先生の両名が座られました。


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0701_ebihara_02.jpg河野先生(以下河野)「ありがとうございました」

海老原先生(以下海老原)「こちらこそありがとうございました(笑顔)」

河野「さて、海老原先生は日本に初めてベリーダンスを紹介された方としてとても有名ですが、少しその辺のお話をお願いできないでしょうか」

海老原「ハイ。私は、かつてアメリカに住んでいた頃にベリーダンスと出会ったのですが、そのとき目にした、まるで映画の中のワンシーンようなベリーダンスの世界を是非体験したいと思って習い始めたのがそもそものきっかけなのです。そしてその後 5 年間、 西海岸のロサンゼルス でベリーダンスの先生について勉強いたしました。
 そしてそのような経過を経て日本に帰国したのですが、私の技術の未熟さに加え日本ではベリーダンスなど誰も知らなかったので、ダンスを舞っても中々相手にしてもらえない状態がしばらく続いたのです。そこで私はダンス技術の基礎を固めるため、さらにバレーや朝鮮舞踊、ヨガなどを 1 年半習い、その後10 年、とにかく一生懸命踊り続けたのです。そしてなんとか日本におけるベリーダンスの普及に対して貢献できたのではないかと思えるようになった矢先、無理と酷使がたたり、私は身体を壊してしまいました。そんな立ち行かない時期に出会えたのが野口整体の岡島先生、モダンダンスの宮崎先生で、私は両先生から初めて関節を柔らかく保つ大切さを学んだのです。そうした素適なご縁に生かされ、めぐり巡って今回こうして河野先生と対談させていただくことになったという訳です」


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河野「いえいえ、海老原先生にそのようにおっしゃっていただくと照れてしまいます(照笑)。ところで、普通のダンスとベリーダンスの違いですが、海老原先生はいったいどのような違いがあるとお考えでしょうか」

海老原「私の考えるベリーダンスの一番の特徴は “骨盤の中心を使い、背骨を意識し、丹田を意識し、内臓は緩めたほうが良い” といった整体的な考えを根底に持っていることで、この点が他の方のダンスと違うのではないかと考えております」

河野「つまり身体の緩みや引き締まりを養ってこそ初めて最高のパフォーマンスで踊れるようになる、ということですね。(感心したように)これはまさに武道における身体の使い方と同じことがいえると思いますね。ところで “ベリー” とはお腹のことですよね?」

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海老原「ハイ。お腹といえば、みぞおちは動かせても丹田(おへその下辺りの中心)はなかなか動かせないものですが、やっぱりココを動かせてはじめてベリーではないかと最近思えるようになってきたのです。つまり “ベリー” って本質的には丹田なんじゃないかと。私はその点を皆様にお伝えしたいし、またそうすることによって女性の卵巣、子宮のコンディションも変わってゆくので、そうすることによってその先にある本当の身体、及び精神的な女性解放に繋がるのではないかと思っているのです」

河野「なるほど。むしろ骨盤の使い方は男性にこそ伝えたいポイントですよ(笑)。女性は女性特有の柔らかい動きを持っておられますが、男性は弾力のある力強い動きが特徴ですからね。そこのところを男性にもしっかり理解して欲しいと思います」

海老原「ベリーダンスを踊るとき、坐骨から腰を動かせば腰痛も治りますよ」

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河野「本当ですか。それはいいことを聞きました(笑)。腰に負担といえば、先ほどのダンスで使用されていた刀ですが、(実際に刀を手にとって)これって結構重いですね、驚きました。これだけ重さがあれば頭を動かさずに身体を動かす良い意識付けになるでしょうし、集中することでトランス状態になりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか」

海老原「ええ。こういった刀を使うことによって、元々身体が持っている軸と重心について特に考えるようになりました。具体的には左右の坐骨(ざこつ)と丹田の 3 点への意識の集中ですね。ベリーダンスはとにかくみぞおちをゆるめることが大切です。その際、仙骨(せんこつ)は決して反らせてはなりません。その為にも仙骨については踊っているときも普段のときも常にニュートラルな位置に持っていくように気をつけてください」

 

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 上記のようなお話も一息つき、本講座も中盤を過ぎたこの辺りで対談も一時中断し、河野先生がワークを始められました。まずは会場のみなさんに実演を交えての腰の動きと歩き方の関連性を説明され、そのあと、各自実際に歩いてもらいます。具体的には腸骨(腰の骨)の意識的な締め方や踵(かかと)へのマッサージで上半身の動きに違いが出てくる点に注目です。さらに足の親指を刺激することによるヒップアップの確認も行います(これは若返りのツボでもあります)。このように足首と立ち姿勢、そして歩き方への関連性をピンポイントで説明されると、会場のみなさんも普段の身体の使い方がいかに本来あるべき姿と合致していないかがよく分かり、納得の表情です。


0701_ebihara_07.jpg そして河野先生のワークも一息ついたところで海老原先生のダンスワークが始まりました。まずは参加者全員を立たせてのダンスレッスンです。最初に両足を腰の幅に広げ、頭の力、肩の力、腕の力を抜いて前屈します。上半身が本当に逆さまになっているかどうかを確認できれば、自身の身体は本当の意味において腰が支えていることに気付けるのです。 次いで足を浅く曲げた状態で首を回し、深呼吸を行い、さらに背骨が伸びやかになるように意識を集中しながら上半身をみぞおちから大きく回してみます。

 

  これら一連の動き全てがベリーダンスの動きへと昇華してゆくのです。


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 「ベリーダンスでは上半身の後ろへの反り具合も大切です。その際、恥骨と坐骨から腰の動きが始まるように注意してください」 と海老原先生は皆さんの動きを見ながらおっしゃいます。

 「次いで左右から前後の動きに注目し、自分自身の意識を坐骨から離さないようにしてください。この場合、坐骨は上半身の動きへと繋がっていく節目となりますので、ココは大切なポイントだと自覚してください」
  このように身体のパーツひとつひとつの動きをを丁寧に確認しながら、全ての動きを統合、昇華すべく指導される海老原先生。会場内は徐々に熱気と情熱に包まれてゆきます。

 「以上の動きを踏まえた上でリズムを取るために音楽をかけてみましょうか」
 海老原先生の合図で会場内に軽快な音楽が鳴り響き、参加者のみなさんがいい汗をかき始めた頃、ダンスワークは終わりを告げました。


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海老原「どうですか、ダンスはキツかったですか(笑)。ベリーダンスは表面の筋肉ではなく奥深い位置の筋肉と背骨を動かすので血の巡りも良くなりますし、そのおかげで場合によっては 4 時間以上にも及ぶダンスをこなすことのできる体力の下地ができてゆくのです。

  ダンスといえばベリーダンスを踊られる方は大抵胸を見せようとされるものですが、実は背中を見せることが本道なのです。その為には、いかに胸を緩めて背中を揺すれるかが大切になってきますし、適切な揺らしを表現できるようになれば胸を見せるよりも遥かにセクシーに感じさせるものなのです。そのためにも腕と手首を一直線に揃えて、腕を動かさずに身体を動かせるようにがんばってみてください。そして、皆さんで本当の意味での美しいダンスを踊ってください」

河野「これを機会に、皆さんに身体の上手な使い方をお伝えできればいいですね」

海老原「そうですね。今日はたくさんの方々にご参加いただいて本当に嬉しかったです」

河野「今日は本当にありがとうございました」


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 ホロンPBIでは忙しい毎日の中では中々感じることの出来ないような「感動」や「体験」を皆様に味わっていただけるよう、各界のさまざまな先生のお話をホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を中心に今後も充実したラインナップで展開してゆきたいと考えております。

 気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。

 スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

 それでは次回のホロンPBI主催の「上質人生大学公開講座」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。 どうぞご期待下さい。


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