2003年7月
ヒマラヤの叡智を活かそう~120歳までの健康生活の秘訣
成瀬 雅春 先生
皆さん、こんにちわ。今回のPBIバーチャルホロン大学公開講座レポートは、7月04日(金曜日)に行われた「ヒマラヤの叡智を活かそう~120歳までの健康生活の秘訣」の模様をお届けいたします。
さて、PBIバーチャルホロン大学公開講座の大好評シリーズとして展開している「倍音声明」(「倍音声明」とはチベット密教の修行から編み出された発声法です。 この発声法の素晴らしさはチベットはもとより、日本においても「宗教的概念から脱し、従来の様々な健康法のレベルを超え、瞑想の域に達している」と認められた点にあります。
もちろんバーチャルホロン大学公開講座でも「倍音声明」に参加された皆様には毎回発声を体験して頂き、いずれも大好評を頂いております)ですが、今回の講座はいつもとは一味違う「お話し講座」として企画いたしました。
講座を担当していただく成瀬先生はヨガ行者として海抜4000メートルのヒマラヤで毎年修行を重ね、その長年にわたる行体験をもとに数々の本を御出版され、倍音声明の第一人者として御活躍されている、この分野ではとても有名な方です。
そのご本人が長年の修行において体験してきた貴重なお話を今回はヒマラヤ・ヨガ・健康をキーワードにお話して頂きました。
講義に先立ち成瀬先生はヒマラヤ修行中の写真を会場の皆さんに配りました。写真には太古の昔から鎮座し続けるヒマラヤの万年雪と、その風景に溶け込むかのような佇まいの成瀬先生が写っていました。成瀬先生は語ります。
「この大きな氷の塊がヒマラヤの万年雪です。その下から湧き出るように流れるこの清流が、あの聖なるガンジス川となるのです。つまりここはガンジス川の始まりの土地なのです」
「(大きな岩を指し示し)3年前はこの岩の上で瞑想を行ったのですが、去年行った時にはこの岩が数百メートル(!)下に落ちていて跡形もありませんでした」
「(更に大きな水柱を指し示し)この写真は氷河の崩落の写真です。この氷河の上に座っていると、内部から「ミシミシ…」という気配を感じ弟子と共にその場から逃げ出しました。数分遅れていたら私もこの崩落の中に巻き込まれていたことでしょう」と述べられました。
「大自然はホントにすごいですね」などと笑いながら話される成瀬先生ですが、その内容は実に笑えないようなスケールの大きな話ばかりです。他にも
「修行場である4000m地点まで登山している最中に岩石の崩落があり、十数秒前に歩いていた登山道が岩石で埋まってしまいました。危機一髪助かったのは良いのですが食料を運ぶポーター達と寸断され高度3千数百メートルの場所で孤立してしまいました」
「修行場は超高山特有の日差しの強さから、不用意に昼間出歩くとヤケドをします(実際に弟子の1人が足にヤケドを負ったそうです)。故にその強い日差しを集光板で集め調理に利用している人がいる反面、夜の冷え込みは零度以下という強烈な気象条件に支配されているのです」などの凄まじい体験談の数々が披露されました…でも成瀬先生はこうおっしゃいます。
「確かにその瞬間は大変な想いを致しました。しかし後になって想い返してみるとそれらは全て楽しい思い出にかわっているのです(笑)。これは私が生きる上で常にモットーとしている「楽しい事をする」に裏打ちされた行動でもあるのです」
ここで一息ついた成瀬先生は、続いてヨガの本質についてお話しされました。
「確かにヒンズー教には輪廻転生の考え方がベースにあります。つまり生まれ変わりですね。
しかし、ここでの輪廻で勘違いをしてはならない点は、ヒンズー教の人々が来世への生まれ変わりを望んではいないという事なのです」
成瀬先生の説明によると「今世がだめなら来世があるさ」ではなく、「生まれ変わる必要のないレベルに一日も早く到達したい」といった解脱を求める気持ちが修行を行う動機づけであり、目的でもあるのだそうです。
これは現実の生活の貧しさとも深く関係するのですが、肉体を持つ人間に付き纏う「苦しみ」から今世をもって解放されたいと願う強い気持ちがヒンズー教を信ずる人々の心の根底にしっかりと根ざしているのです。
こういった状況の中、修行とはかけ離れた逸話も幾つか存在します。その中でも特に有名なのがガンジス川の中流にある「ベナレス」という土地に纏わる話です。「ベナレスで人生の終わりを迎えれば(修行段階とは関係なく)輪廻の輪から開放される(=解脱出来る)」という言い伝えがあり、故にベネレスには死を待つ人々がインド各地からたくさん集まってくるのだそうです。
実際に成瀬先生も訪れてみたそうですが、その地で死期を待つ人々の安らかで満ち足りた表情を目の当たりにして改めてヒンズー教の信仰の深さを認識されたそうです。
「人間として生まれ、人間として自分を高める。生きている限り人生の目標である解脱を目指し、目標を獲得するその為にヨガの修行はあるのです。自分自身を出来る限りコントロールし、究極の業として自らの死をもコントロールする…自分が決めた時間に自然死することは素晴らしい事であり、その為には大いなる悟りが必要不可欠なのです。しかし人生に少しでも執着心が残っていれば大いなる悟りなど叶わぬ夢となります。今世の後、生まれ変わる必要のない高みへ。故にそこには二度と死ぬことも苦しむ事もない素晴らしき世界が待っています。
ここが単なる不老不死を願う概念とは魂としてのレベルが違うと言われる所以です」
ここで成瀬先生は、ヨガ修行のレベルが上がり自身のコントロールを会得する1つの具体例として心臓の鼓動を限りなく遅く(最終的には止める)業を挙げて下さいました。
「修行を積むことによって、例えば自身の心臓の心拍数を落とすことも可能になってきます。こういった荒業は一見、人生において何の役にも立たないように思われますが、実際は音楽と同じような側面を持っているのです。音楽も生きて行く上で直接何かの役に立っている訳ではありません。しかし音楽が身近にあることで人生は豊かさを増すでしょう。このような音楽のもたらす豊かさと同じ物がヨガの修行にもあるのだ、と考えて下さい。
最終目標は一切のしがらみを捨て己の意志で死を迎えることですが、そこに到る様々な修行で得た業は己の人生を更なる豊かさに導いてくれるものなのです」
「インドでは人生において修行を絡めた理想の生き方として4つの時期があると言われています。まず勉強の時期があり、次に結婚の時期があります。ここで財産を作り子供たちにその財産を譲ります。
そして全てを捨て自らの修行の時期に入ります。ここで山にこもる等、様々な修行を行うのです。業を会得し、自身をコントロールするためのレベルを上げてゆきます。
そして最後の段階で町に戻りインド中を托鉢して回るのです。万一行き倒れた場合は目の前にいた人がその人の面倒を見る…日本では考えられませんがインドではこういったシステムが存在するのです。そして自らが決めた時期に死を迎える…これこそがインドで理想といわれている生き方なのです。
ヨガはこの素晴らしい人生を手に入れる為の効果的な手段の1つなのです」
ではそれらのヨガとは一体どのようなものなのでしょう。成瀬先生は言います。
「種類が多すぎて一括りにヨガを規定することは出来ませんが、ここでは呼吸、指、足をポイントにご説明致しましょう」
成瀬先生は、最初に呼吸の概念を教えてくださいました。
「まず息を吐き肺内の汚い空気を全て吐き出します。次に大きく息を吸い、口を窄め「シュー」っと音がするように出来るだけゆっくりと吐き出します。自分で何回も繰り返し、1秒でも長く息を吐き続けることが出来るようにしましょう」
次に両手の指をあわせ親指から小指まで順番に回す運動と足首を出来るだけ大きく回す運動を教えて下さいました。
「身体においてバランスが崩れると血液の循環が滞ります。中でも静脈の循環は普段からも滞ることの多いのが現状です。そこで手、足それぞれの末端をこのようにゆっくりと動かすことによって静脈の循環を促し、身体を正常な状態に保つことが出来るのです」
成瀬先生は「ゾウの時間 ネズミの時間(本川達雄著 中公新書)」を引用して一つの説を教えてくださいました。
「哺乳類の心拍数は種類を問わず約20億回とほぼ一定しております。更に呼吸数は心拍数の1/4といわれ、約5億回という研究データがあります。つまり呼吸を5億回行うと寿命が来てしまう…という事になります」
そこで先程のゆっくりとした呼吸を行うと一体どのような結果がもたらされるのでしょう?
「例えわずかな回数でも先程の方法でゆっくりとした呼吸を行えばそれが潜在意識にインプットされ、普段の呼吸もやがてゆっくりとしたリズムに変わってゆきます。
もし現在のあなたが人生折り返しの40歳として、残り40年分の呼吸を今までの半分の速さでゆっくりと行ったとしたら、それだけで計算上の残り寿命が倍の80年となり、合わせて120歳の寿命となるのです。
これでやっと今回の表題にある「120歳までの健康生活」に数字上ピタッと合う訳ですねぇ…よかった、よかった~(…と胸を撫で下ろす仕草の成瀬先生でありました…(笑))」
最後に成瀬先生はこのような言葉を会場の皆さんに送られました。
「幸福の「コ」は呼吸の「コ」と覚えてください。本格的な修行をせずとも、上手に生きる道は存在します。ぜひ、今日聞いた話を普段の生活に取り入れるようにして下さいね」
気軽な雰囲気の中で本当に気持ちの良い「体験」や「知識」に触れ合うチャンスなんてそうそうあるものではないですよね。これを機会に好奇心一杯の気持ちを鞄に詰めて、会場まで足をお運び頂ければ幸いと存じます。
スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
それでは次回のホロンPBI主催の「 上質人生大学公開講座 」を楽しみにしていて下さいね。楽しいこと、不思議なこと、そしてあなたの人生にちょっとしたエッセンスを加えることが出来ること請け合いです。 どうぞご期待下さい。





